その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロイヤル・オペラ 『フィデリオ』 

2011-04-22 00:36:26 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 久しぶりのオペラ。何か理由はよくわからないですが、仕事が忙しかったのと、地震の間接的影響もあったと思うのですが、どうもこの1か月音楽を能動的に聴こうという気が全く起こらず、取っていたチケットもリターンしたりで、何か自分でも変でした。ただ、ベートヴェンのフィデリオということで、最終日に力を振り絞って見に行きました。

 素直に行って良かったと思いました。質の高い公演だったと思います。歌手陣が皆さん、とっても良い出来でした。フィデリオ(レオーネ)のNina Stemme とマルツエリーネのElizabeth Wattsの女性陣がしっかり。男性陣も皆さん良かったです。あえて難を言うと、図抜けた歌手がいないので、全体的な印象としてはちょっとパンチ不足の感じがしました。ただ、クライマックスの歓喜のコーラスはベートヴェンならではで、清らかで迫力あるコーラスは感動的でした。

 オーケストラの演奏は、優しい大らかなベートヴェンに聞えました。指揮はKirill Petrnkoの代役でロイヤルオペラのHead Of MusicのDavid Syrus。数カ月前に、「魔笛」でもデイビスの代役で聴きました。その時も随分まったりした演奏をする人だなあと思ったのですが、今日もそうだったので、きっとこの人の個性なのでしょう。個人的にはもう少し棘のある、尖った演奏が好みです。

 演出については、ラストシーンについてつるびねったさんがコメントされていましたが、フィデリオは演奏会方式で聴いたことはあるものの、本格オペラ観劇は初めての私には、あまり気になりませんでした。舞台袖の席で、処刑シーンも見えなかったし。むしろ、全体としては、雰囲気をよく捕えた馴染み安いものだと思いました。

 真面目すぎて、面白みがないと言えばない、いかにもベートヴェンというオペラですが、たまにはこういうオペラで、人間の純粋でひたむきで勇気ある愛に触れるのも、気持ちのいいものです。

(フィデリオのNina Stemme)


(Nina Stemmeの向かって右隣りがEndrik Wottrichさん)


(指揮者のDavid Syrusを交えて)




Saturday 19:00 16 APRIL 2011

Beethoven: Fidelio

Nina Stemme (Leonore)
Jurt Rydl (Rocco)
Endrik Wottrich (Florestan)
Elizabeth Watts (Marzelline)
John Wegner (Don Pizarro),
Willard W. White (Don Fernando)

Jürgen Flimm (Original Director)
David Syrus (Conductor)

コメント (2)
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