その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

調布音楽祭/ バッハ・コレギウム・ジャパン「バッハ管弦楽組曲全曲」

2013-06-23 06:35:14 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)による「管弦楽組曲全曲」演奏を聴きに、東京都下の調布に出かけました。このコンサートは、調布市が主催している調布音楽祭のクロージング・コンサート。調布音楽祭はBCJ音楽監督の鈴木雅明の監修のもと、鈴木優人氏が総合プロデュースしている2日間のフェスティバルです。プログラムを見たら、桐朋学園大学音楽学部の在学生、卒業生による無料コンサートが1日中行われていたりしていて、もっと早くから出かけていればと、少し後悔。

 バッハの管弦楽組曲全曲が全曲聴ける機会はあまりないでしょうし、それもバッハのプロ集団の鈴木氏とBCJ。とても楽しみにしていました。会場のグリーンホールは、調布駅前にあるいわゆる市民ホールで、外観は古ぼけていますが、ホール内は大きすぎず小さすぎずの適度な大きさで、新しくはないけど不満はないホールです。


《ホール前》


《ホール内》

 バッハの管弦楽組曲4曲のプログラムは、少々単調で退屈するかなとの恐れもあったのですが、それは全く杞憂でした。4曲おのおのの違いが浮き出る、非常に楽しめた演奏会でした。プログラムでは、4番→1番→2番→3番の順番だったのですが、演奏者の事情で、1番→4番→2番→3番に変更に。いったい、どういう「演奏者の事情」なのかわかりませ
んが、却って各曲の個性が良く分かる順番になったと思います。

 オーソドックスな組曲第1番の後の4番では、トランペットとティンパニが入って、ぐっと華やかになりました。トランペットがちょっと不安定な感じでしたが、弦、木管陣がしっかり支えて豊饒の演奏です。休憩を挟んだ最初の第3番は、フラウト・トラヴェルソの菅きよみさんの独壇場。古楽器ならではの音色を楽しませてくれました。ラストの2番は誰でも知っているエアーを含め、フィナーレを飾るに相応しい華やかな演奏です。

 大きな拍手に応えたアンコールでは、ちょっとしたサプライズ。この日の午後、この音楽祭でリサイタルを行ったヴィオラ奏者アントワン・タメスティがTシャツ姿でステージに登場。タメスティを加えて、ブランデンブルグ協奏曲第3番の第2楽章、第3楽章を共演。BCJのコンマス寺神戸さんとの対向演奏がなんとも見所、聞きどころ満載でした。食後のデザートというよりも、セカンド・メインディシュといえる程の豪華なアンコールです。

 今年からモデルチェンジをしたという音楽祭。規模は大きくないですが、中身がしっかりしていて、自治体イベントにありがちな形ばかりの「音楽祭」とは一味違ったプログラムと高いレベルの演奏が楽しめました。来年も要マークです。


バッハ・コレギウム・ジャパン「管弦楽組曲全曲」
6月22日(土) 17:00 ~
J.S.バッハ:管弦楽組曲第1番ハ長調 BWV 1066
J.S.バッハ:管弦楽組曲第4番ニ長調 BWV 1069
J.S.バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV 1067
J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV 1068

調布市グリーンホール大ホール
コメント (2)
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