その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

夏目漱石の美術世界展 @東京藝術大学大学美術館

2013-06-25 06:46:15 | 美術展(2012.8~)


 東京藝術大学美術館で開催中の「夏目漱石の美術世界展」へ行ってきました。会期末が近づいているせいか、フェルメール展のような混雑ぶりとは言わないものの、結構混んでいました。テーマのせいでしょうか、通常の美術展と客層が多少違っており、中高年の男性陣が多かった気がします。

 展示のほうは、期待以上に楽しめました。夏目漱石の小説や評論で題材として使われている美術作品を通じて、漱石の世界をより深く理解できます。昨今の企画展は、画家の個展であったり、有名美術館の引っ越し展示だったりすることが多いと思いますが、本展は、企画により、美術作品を通常とは異なった文脈、視点で見直すことができる、真の企画展といえるものだと思います。キュレーターさんのセンスに感心します。

 絵としては、私の好きなミレイやウォーターハウスなどのラファエロ前派の絵があったのが嬉しかったですし、名前こそ知っているものの、きちんと鑑賞した機会が少ない日本画家の青木繁、黒田清輝、横山大観らの絵を見ることができたのも良かったです。更に、当時の漱石の単行本の装丁などの展示もあり、洒落たデザインに感心しました。


ウォーターハウス「シャロットの女」


ウォーターハウス「人魚」

 展示数も多いですし、漱石の小説や評論の引用と合わせて絵を見る形になるため、思いのほか鑑賞には時間がかかります。たっぷり1時間半以上かかりました。

 漱石の主な小説は学生時代に大抵は読みましたが、久しく離れていますので、もう一度読み直してみたくなります。きっと学生時代とは全く異なった発見がありそうです。

 7月7日までですので、少しでも興味ある方は、足を運ばれることをお勧めします。

 蛇足ですが、上野は都立美術館、国立博物館までは行きますが、その奥は行ったことがありませんでした。今回初めて、東京藝術大学の周囲をぶらつき、その落ち着いた雰囲気が気に入ったので、一度、ゆっくり散策してみたいと思います。


展覧会のHPはこちら→
コメント (8)
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