その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

没後80年 宮沢賢治・詩と絵の宇宙―雨ニモマケズの心 @世田谷文学館

2013-07-25 06:30:45 | 美術展(2012.8~)


 暑さを凌いでどこか良いところは無いかしら?と探して見つけたこの展覧会。始まったばかりの上野の東京都立美術館のルーヴル美術館展は人だらけだろうし、駅まで歩いて電車に乗るのも億劫。そんな人嫌いかつものぐさな私にドンピシャ企画でした。車で国道20号線から入って直ぐ、電車なら京王線芦花公園駅から歩いて5分ぐらいの落ち着いていて、閑静で、いかにも世田谷という感じのするところに世田谷文学館はあります。

 最近でこそご無沙汰ですが、宮沢賢治は子供のころから色んなところで触れているし、とても好きな作家でした。本展覧会は、賢治の直筆の手帳や絵を始め、童話の原画や挿絵が展示してあります。

 都心の企画展と比較すると規模は小さいですが、中身はとっても充実しています。黒い手帳に直筆で「雨ニモマケズ 風ニモマケズ・・・・」と書かれた筆跡は、詩人の強い思い、決意が感じられるもので、グーッと引きつけられます。また、数々の童話の挿絵は、同じ作品を複数の童話画家が描えいたものもあり、画家の筆を通して多角的に宮沢賢治の世界を味わえます。ただ、どの挿絵も、賢治の自然に対する畏敬や愛情がしみじみと伝わってくるもので、それが数百点も並んでいる文学館の空間そのものが、賢治の世界を醸し出していました。

 館内は日曜日でありましたが、開幕間もないためか人もさほどは多くなく、ゆっくりと自分のペースで見て回ることができます。都心の美術館、博物館には無い、アットホームな落ち着いた雰囲気で、贅沢な気分を味わえました。

 あと、もう一つお勧めがあります。宮沢賢治展の展示室は2階ですが、1階の展示室に別企画でコレクション展「文学に描かれた世田谷―成城・多摩川界隈」というのをやっています。そこの入り口に「ムットーニのからくり劇場」というのがあったのですがこれが面白いです。文学作品の一場面を、「からくり」という小さな舞台と人形、音と光で表現するというものですが、小さいながら、からくりを前に文学作品の朗読を聞くと、その自分の想像力がグーっと大きくなり、作品の世界が広がっていくのです。宮沢賢治展のチケットで入室できますので、訪れた方は是非1階もお忘れなく。

宮沢賢治展の公式HPはこちら→
からくり人形のページはこちら→


《文学館入り口》


 2013年7月21日訪問
コメント (2)
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