
2012年10月に兵庫県尼崎市で発覚した連続殺人死体遺棄事件についてのルポルタージュ。事件はまだ記憶に新しい方も多いと思う。主犯の角田美代子が、兵庫県尼崎市で血縁関係にない人物たちと築いた(または乗っ取った)疑似家族との共同生活の中で、暴力、虐待、脅迫等により、8名の人間が死亡し、いまだ3名が行方不明のまま(Wikiより)という、おそらく戦後日本でも例を見ない怪奇事件である。主犯に加え、その親族など11名が起訴されたという点においても、異常な事件だ。本書は複雑かつ異常なこの事件を丁寧に取材を重ね、事件の真相をつまびらかにしている。
「事実は小説よりも奇なり」とは言うが、読めば読むほどこんなことが起こるとは信じがたい。ちょっとした弱み、出来事につけこみ、普通の家族を崩壊させ、乗っ取り、葬る。読んでいて、こうした悪人達の悪行に気分が悪くなり、吐き気を催す。人ってここまで悪くなれるのだろうか?
逆に一般市民がこうした悪人に付け込まれないためにはどうすればいいのか?警察があてにならないことは、この事件に止まらないようだ。少しでもこうした手口を知って、早め早めに周囲に助けを求めるしかないのだろう。本書を読んでいて、被害者たちを、何とか救い出そうとした人が周囲に少しでもいたことは、最悪の事態を防げなかったケースもあるにしても、数少ない救いである。
普通の人は「悪」について知っておいた方が良い。本書はそのための必読書だと思う。
【目次】
プロローグ
第一章 角田美代子と裏稼業
第二章 グリコ森永事件との奇妙なつながり
第三章 親の愛に飢えた少女
第四章 非公然売春地帯への紹介者
第五章 最初の家族乗っ取り
第六章 警察の怠慢
第七章 美代子の暴力装置
第八章 被害者と加害者の父
第九章 谷本家の悲劇
第十章 自由への逃走、追跡後の悲劇
第十一章 崩れる大人たち
第十二章 さまようファミリー
エピローグ