その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 4月定期Cプロ/ 指揮:レナード・スラットキン/ ブラームス交響曲 第1番ほか

2016-04-23 20:45:05 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 冒頭、熊本・大分の震災被害者の方々を追悼し、黙とうが捧げられ、続けてバッハのアリアが演奏された(事前に「拍手はお控えください」とのアナウンスがあった)。聴衆のための演奏でないけど、美しい演奏と被害に遭われた方のことを思い、自然と胸が熱くなった。

 仕切り直して、スラットキンが改めて登壇し、コンサートがスタート。前半は武満 徹の「系図(ファミリー・トゥリー)」が特に秀演。武満の曲としては耳に馴染みやすく、山口まゆの語りもマッチ。家族を歌った曲だけども、昔懐かしい日本の原風景が瞼に浮かぶ演奏だった。(山口まゆという女優さんは殆ど知らなかったが、オペラグラスを忘れてよく見えなかったのが悔やまれる)

 後半のブラームスはストロングスタイルの演奏。スラットキンは、所々にアクセントは入れるものの、奇をてらったようなところの無い横綱相撲(もっとも最近の本当の「横綱」は奇をてらうけど・・・)。N響にとっても、この曲はきっと十八番なのだろう。曲の細部に至るまで、自信に満ちた骨太の音が聞こえてきた。重層的な弦、美しいホルン、切れのあるティンパニーがとりわけ印象的。第4楽章のフィナーレでは、ちょっと乗りすぎとも思えるほど、オケを煽り、盛り上げ、大団円で締めた。8割5分ほどの入りだったNHKホールだけど、満員並みの大拍手とブラボーに包まれた。



第1833回 定期公演 Cプログラム
2016年4月23日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

ベルリオーズ/歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲
武満 徹/系図(ファミリー・トゥリー)― 若い人たちのための音楽詩(1992)*
ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68

指揮:レナード・スラットキン
語り*:山口まゆ(女優)



No.1833 Subscription (Program C)


Saturday, April 23, 2016 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Berlioz / “Béatrice et Bénédict”, opera - Overture
Toru Takemitsu / Family Tree - Musical verses for young people (1992)*
Brahms / Symphony No.1 c minor op.68

Leonard Slatkin, conductor
Mayu Yamaguchi, narrator*
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