先週に続いてルイージさんのドイツ系プログラム。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番のピアノ独奏はイタリアの出身のベアトリーチェ・ラナさん。まだ20代前半で、ラテン系の雰囲気むんむんの女性です。初めて聴く方でしたが、奏でる音楽は感情過多になることのなく、むしろ落ち着いた、自然体のものでした。特に、第2楽章の美しさが秀逸で、テンポを揺らし、ぐーっと聴衆を引きつける演奏は、むしろ老成さを感じるぐらい。それにより、第3楽章は軽快さが引き立ち、この曲をこれ以上なく堪能。アンコールのドビュッシーは超絶技巧で、先週は咳だらけだった聴衆席も、息を飲んで静まり返ってました。
後半はブラームス交響曲第4番。ルイージさんは相変わらず、体を縦横無尽に使って、パッション一杯にN響と音楽を創ります。動きだけを追うととっても気持ちむき出しに見えますが、発せられる音楽はむしろとっても内省的で、精緻に計算されたものに聴こえました。とは言っても、決して無機質な演奏ではなく、歌うところは大らかに歌わせ、知と情のバランス感が絶妙。職人技ですね。
当然、終演後は大拍手。先週も然りでしたが、ルイージさんは楽団員さんからも絶大な拍手を受けていて、リスペクトされているのが良くわかります。ホント、毎年、来てほしい方です。
第1859回 定期公演 Cプログラム
2017年4月22日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第1番 ハ長調 作品15
ブラームス/交響曲 第4番 ホ短調 作品98
指揮:ファビオ・ルイージ
ピアノ:ベアトリーチェ・ラナ
No.1859 Subscription (Program C)
Saturday, April 22, 2017 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall
Beethoven / Piano Concerto No.1 C major op.15
Brahms / Symphony No.4 e minor op.98
Fabio Luisi, conductor
Beatrice Rana, piano