その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

中国・日本美術に注目! 「ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション」

2017-08-18 08:00:00 | 美術展(2012.8~)
 暑さを凌ぐには美術館・博物館が一番ということで、上野の東京都美術館に出かけた。上野駅から美術館に着くまでに体が溶けそうになったが、館内に入ると汗がすーっと引いていく。

 ボストン美術館のコレクションを活用した美術展はいろんな切り口で数年おきに開催されている。今回は、「美術館を支えてきた数々のコレクターの物語に光を当てながら、発掘調査隊の成果を含む古代エジプト美術から、歌麿や蕭白らによる日本・中国美術の名品、ボストン市民の愛したモネやファン・ゴッホを含むフランス絵画のほか、現代美術までを選りすぐりの80点でご紹介します。」(東京都美術館HP)という企画である。

 美術展のポスターに、ファン・ゴッホの「ルーラン夫妻」が使われているので、出かける前は西洋画の美術展のイメージが強かったが、 いざ鑑賞してみるとむしろ中国美術、日本美術が印象に残った。

 とりわけ、本展覧会の目玉の一つでもある英一蝶《涅槃図》は必見だ。その描写や色彩の細かさや美しさに目を奪われると同時に、描かれた動物、人間、菩薩、羅漢らの様子がユニークで見入ってしまう。こんな素晴らしい日本の作品が、日本にないのは寂しいものである。


陳容 《九龍図巻》(部分)南宋、1244年(淳祐4年) 46.2cm×958.4cm 一巻、紙本墨画淡彩


英一蝶《涅槃図》江戸時代、1713(正徳3)年江戸時代、286.8cm×168.5cm 一幅、紙本着色


曾我蕭白 《風仙図屏風》江戸時代、1764年(宝暦14年/明和元年)頃 155.8cm×364cm 六曲一隻、紙本墨画

 西洋画では印象派以降の作品が中心。個人的好みである、アメリカ人だがイギリスで活躍したジョン・シンガー・サージェントの作品が2点あったのは、嬉しかった。


ジョン・シンガー・サージェント 《フィスク・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル》 1903年 152.4cm×102.5cm 油彩、カンヴァス

 全体としては、やや広く浅くという感がある美術展だが、英一蝶《涅槃図》を始め、目玉作品を鑑賞するだけでも訪れる価値があると思う。

≪構成≫
1章 エジプト部門
2章 東洋部門 中国
3章 東洋部門 日本
4章 ヨーロッパ絵画部門
4章 ゴッホの傑作、 ルーラン夫妻
5章 アメリカ絵画部門
6章 版画・素描・写真部門
7章 現代美術部門
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