《ビア・デ・メディチの肖像》
1542年頃 油彩,板 64×48cm
ウフィツィ美術館
© Gabinetto Fotografico delle Gallerie degli Uffizi
知人から招待券を頂き、八王子の奥深いところにある東京富士美術館に行ってきた。訪れるのは2回目。創価学会の美術館だが、常設展示も西洋絵画の凄い作品が揃っていて、学会パワーを感じる美術館。館内はゆったりした空間で、都心の美術館には無い、落ち着いた良さがある。
今回の企画は、1582年(天正十年)に、宣教師ヴァリニャーノが伊東マンショら4人の日本人少年をヨーロッパへ送り出した天正遣欧使節の足取りを追い、訪れたイタリア各地の都市の美術を訪問順に紹介したもの。日本史好きの私には興味深い切り口。
展示は当時のイタリア・ルネサンス期の絵画やタピスリー、工芸品が中心。中でも、ポスターにもなっているブロンズィーノの《ビア・デ・メディチの肖像》はひときわ光を放っていて圧巻だった。気品にあふれた姿で、絹のような白く柔らかで潤いを感じる肌や貴族の子女らしいドレスと装飾品が、濃いブルーの背景から浮き上がって見える。人物全体とパーツの両方に目を奪われる。
それにしても、戦国時代真っ盛りの日本から、ルネサンスのイタリアやポルトガル、スペインを訪れた彼らのカルチャーショックはいかほどのものだっただろうか。今のようにふんだんに情報が溢れている世の中でさえ、初めての異国経験の興奮や驚きは、人生の上でも何物にも代え難い。展示を見ながら、彼らが受けた衝撃を想像するのも楽しいものだった。
東京富士美術館にて12月3日まで。
2017年10月8日 訪問