その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 11月定期Aプロ/指揮:マレク・ヤノフスキ/ ベートーヴェン 交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」ほか

2017-11-14 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 ここ数年、東京・春・音楽祭でN響と素晴らしい《ニーベルングの指環》を聞かせてくれた名匠ヤノフスキさんが、定演で振るとあって、とても楽しみにしていました。

 前半2曲のヒンデミットはの作品は初めてでしたが、オーケストレーションが楽しめました。2曲目の「木管楽器とハープと管弦楽のための協奏曲」では、第3楽章で、奥さんへの銀婚式へのプレゼントとして、クラリネットだけがメンデルスゾーンの《結婚行進曲》を演奏し続けるという仕掛けが織り込まれています。何と、ウイットと愛に富んだプレゼントでしょう。微笑ましいですね。

 後半の「英雄」は生で聴くのは随分久しぶりです。ベートーヴェンにしてはステージにやたら奏者が多いなあと思ったら、指揮者の方針で倍管での演奏とのことでした。ただ、演奏の方は人数にものを言わせてブイブイという類のものでは全くなく、むしろ抑制され、密度の濃いアンサンブルでした。ヤノフスキさんは、テンポや強弱を絶妙にコントロールし、立体感豊かにこの曲を聞かせてくれます。いつもながらですが、指揮者の指示に的確に反応している(ように見える)N響もさすが。第4楽章の颯爽とした流れなどは素晴らしく、名演奏であったことは間違いありません。

 ただ、全体としては、私の好みとは少々違っていた感じ。何が合わなかったのか、自分でもよく説明できないのですが、今回の演奏からは、私が勝手にこの音楽に期待しまっている喜怒哀楽的な人のエモーショナルな部分よりも、音楽的な上手さとか精巧さをより強く感じてしまったところがあったのかもしれません。まあ、ど素人のたわごとなのですが・・・

 それにしても、今回ヤノフスキさんはこの1プログラム2公演だけのための来日なんですかね~。何かとってももったいない感じ。もったいないと言えば、ヤノフスキさんで「英雄」なら、満員間違いなしなのかと思ったけど意外に空席がありました。私の後ろ一列は、前半は丸ごと空いてました。強力な裏番組があったのでしょうか。

 来年の東京・春・音楽祭の「ローエングリン」がヤノフスキさんでないのがすこぶる残念なのですが、また是非、来日ください。お待ちしています~

PS 紅葉が綺麗だったので、何枚かスナップを。








第1870回 定期公演 Aプログラム
2017年11月12日(日) 3:00pm
NHKホール

指揮:マレク・ヤノフスキ

フルート:甲斐雅之
オーボエ:茂木大輔
クラリネット:松本健司
ファゴット:宇賀神広宣
ハープ:早川りさこ

ヒンデミット/ウェーバーの主題による交響的変容
ヒンデミット/木管楽器とハープと管弦楽のための協奏曲
ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

No.1870 Subscription (Program A)
November 12, 2017
NHK Hall  
 
Hindemith / Sinfonische Metamorphosen über Themen von C. M. von Weber
Hindemith / Concerto for Woodwinds, Harp and Orchestra
Beethoven / Symphony No.3 E-flat major op.55 “Eroica”

Marek Janowski, conductor

Masayuki Kai, flute
Daisuke Mogi, oboe
Kenji Matsumoto, clarinet
Hironori Ugajin, bassoon
Risako Hayakawa, harp

コメント
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