その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

フェドセーエフ指揮/ チャイコフスキー交響楽団 『エフゲーニ・オネーギン』  @2017NHK音楽祭

2017-11-12 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)
 月並みですが「さすが本場もん」と思わせてくれる公演でした。『エフゲーニ・オネーギン』の実演は2回目。2010年にウイーン国立歌劇場でのオペラ初体験以来です(小澤征爾さん目当て半年前に取ったチケットだったのだけど、小澤さんの病気休養で、キリル・ペトレンコが代役だったという、記憶に残る公演でした)。物語は好きとはとても言えないけど、音楽の美しさは物語のしょぼさを補って余りあるものです。(プーシキンの原作を読めば、感動するのかな?)

 今回は、そのチャイコフスキーの名作品を、N響でおなじみのフェドセーエフ(私は勝手にフェド翁と呼んでます)さんが、1974年以来現在まで(何と43年!)音楽監督を務めているチャイコフスキー響でさばきます。さすが息の合い方が半端ない。これほど「手兵」という表現が相応しいコンビは滅多にないです。この作品のツボを押さえて、弦は厚くはあるが重くはなく、管は雄弁でキラキラした響きでした。

 歌手陣も一部の日本人を除いては、ロシア勢が主要役柄を固めます。タチヤーナ役のヴェロニカ・ディジョーエヴァは太めの芯のしっかりした歌声。オネーギン役のワシーリー・ラデュクもホール一杯に響く美しいテノールでした。人種が違うってこういうことなんでしょうねという感じです。

 一方で、日本人組も大活躍で、トリケ役の清水徹太郎さんの滑らかで清明なテノールは、ロシア組とは違った個性豊かなものでしたし、新国の合唱団はいつもながら透明感あふれるコーラスでした。

 残念だったのは、N響の定期演奏会では見たことのないような空席の多さ。2階、3階はかなり空席が目立ちました。オケの知名度なんでしょうか?価格だって外オケ、演奏会方式とはいえオペラという条件で考えれば決して高くはないですし、なぜなんでしょう?よくわかりません。

 ただ、終演後の拍手は、満員のNHKホールと変わらない大きなもので、ホール内が明るくなってからも、何度もフェド翁や歌手陣が呼び返されていました。



チャイコフスキー交響楽団(旧モスクワ放送交響楽団)
NHKホール
17/11/9 18:00開演

指揮:ウラディーミル・フェドセーエフ

タチヤーナ:ヴェロニカ・ディジョーエヴァ
エフゲーニ・オネーギン:ワシーリー・ラデュク
レンスキー:アレクセイ・タタリンツェフ
オリガ:アグンダ・クラエワ
ラーリナ:エレーナ・エフセーエワ
グレーミン公爵:ニコライ・ディデンコ
フィリッピエーヴナ:エレーナ・マニスティーナ
トリケ:清水徹太郎
ザレーツキー&中隊長:五島真澄

合唱:新国立劇場合唱団

曲目・演目:
チャイコフスキー/歌劇「エフゲーニ・オネーギン」全3幕
演奏会形式(ロシア語上演・日本語字幕付)


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