マニアというほどではないが、旧作「ブレード・ランナー」は、「未来世紀ブラジル」と並んで学生時代から大好きな作品の一つである。DVDも持っている。あの不思議で混沌とした未来都市ロサンジェルスや感情を持ち始めたレプリカント(アンドロイド)の衝撃は、今でも忘れられない。その続編がいよいよ制作されたということで、期待感一杯で出かけた。
前作の世界観を引き継ごうとする意志は感じられたし、続編がオリジナルを超える出来栄えになることなど殆どないということも分かってはいるものの、内容は少々がっかりだった。描かれた世界や技術に新規性は感じられず、新たなサプライズがない。陳腐なアクションムービーになってしまっている印象を受けた。2時間40分の上映時間も冗長だ。
今の我々の現代社会では、過去にさまざまなSF映画で描かれた未来技術や未来社会は、かなり現実味を帯びてきている。そんな中で、新規性を持つSF映画を創作することは相当難しいのだろうということが感じられた。ストーリーの軸も、前作が描いたような人間対レプリカントという構造ではなく、この作品はレプリカント対レプリカントだ。人間の出る幕はほとんどない。
ネットの評判は驚くほど好意的なので、私の事前の期待値が高すぎただけかもしれないが、私には残念な映画となった。
スタッフ
監督ドゥニ・ビルヌーブ
製作アンドリュー・A・コソーブ、ブロデリック・ジョンソン、バッド・ヨーキン、シンシア・サイクス・ヨーキン
キャスト
ライアン・ゴズリング: K
ハリソン・フォード: リック・デッカード
アナ・デ・アルマス: ジョイ
シルビア・ホークス: ラヴ
ロビン・ライト: ジョシ