2012年2月にロンドンで”THE BEE"を観て以来の野田さんの英語劇を鑑賞。THE BEEでも共演したキャサリン・ハンターとグリン・プリチャードが出演というのも嬉しい。
イヤホンで大竹しのぶさん、阿部サダヲさん、野田さんが日本語で出演してくれているので、最初はイヤホンをつけて見始めたけど、英語と日本語のセリフのタイミングがずれるのと、両言語を追いかけるのがつらくて10分もせずにイヤホンは外してしまった。英語は100%聞き取れているとはとても言えないが、ハンターとプリチャードの英国アクセント英語が妙に懐かしく、自分がロンドンの劇場に居るのかと錯覚するほどだった。
THE BEEが「報復の連鎖」を描いた作品だったが、本作は「不寛容の激突」とでも言うのだろうか。現代人の弱みを、コメディタッチで描いた佳作である。なのでパーツ、パーツはコミカルで面白いが、全体を通すとシニカルな一面を持っている。私なんかは、描かれているシーンで他人事とは思えない様な場面がいくつもあり、実は全然笑えなかった。ちょっと怖いぐらい。
もともと日本語での原作(日本語版のキャストには黒木華が出ていたらしい)をわざわざ英語に翻訳して講演するぐらいだから、当然、世界を睨んだ芝居である。東京公演の後は、ワールドツアーに出るらしいので、大成功を祈念したい。
「表に出ろいっ!」English version”One Green Bottle”
英語上演・イヤホンガイド(日本語吹き替え)付
11月5日 14:00開演
日程
2017(平成29)年11月1日(水)~11月19日(日)
会場
シアターイースト
ストーリー
これは、父、母、娘の三人家族の物語。その夜、三人はそれぞれ絶対に外出しなくてはならない理由があった。しかし、飼い犬が出産間近とあって、誰かが家に残り、面倒を見なくてはならない。嘘、裏切り、あの手この手を使って、それぞれが他の二人をあざむき、なんとか家を抜け出そうとする。やがてそれぞれの「信じるもの」が明らかにされ、互いの中傷、非難、不寛容が、事態を思わぬ方向へと導いていく。
果たして彼ら三人に、救いはもたらされるのか?
作・演出 野田秀樹
英語翻案 ウィル・シャープ
出演
父 キャサリン・ハンター
“Father” Kathryn Hunter
娘 グリン・プリチャード
“Daughter” Glyn Pritchard
母 野田秀樹
“Mother” Hideki Noda
演奏 田中傳左衛門
スタッフ
作・演出:野田秀樹
英語翻訳:ウィル・シャープ
美術:堀尾幸男
照明:クリストフ・ワーグナー
衣裳:ひびのこづえ
作調:田中傳左衛門
サウンドデザイン:原摩利彦
音響:藤本純子
ヘアメイク:赤松絵利
バック・トランスレーション:常田景子 ピーター・マーシュ
演出助手:ラガ・ダール・ヨハンセン
プロダクション・マネージャー:ニック・ファーガソン