その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響10月A定期 指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット /ブルックナー 交響曲 第9番 ニ短調

2018-10-18 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

《少しずつ葉の色が変化してきました》

4月に振ったばかりのブロム翁が登壇。今の日本で、指揮者を迎える拍手の大きさと暖かさにおいて彼の右出る人を私は知りません。

後半のブルックナーの9番は圧巻の演奏でした。ブロムシュテッドさんが紡ぐ音楽は瑞々しく明瞭。メッセージとか技巧とは無縁で、締まった筋肉質の音楽は、ただただ音楽の持つ美しさを引き出してくれます。とりわけ、第3楽章のアダージョでは、人の悲しみを全て引き受けてしまったような音楽に強く胸打たれ、涙が出そうになりました。クロージング部分では、フライング拍手が一旦は起こりつつも、もう一度沈黙の時間に引き戻して終わり。このブルックナー9番は、私のブル9歴の中(そんなに聴き込んでるわけではありませんが)では特に記憶に残る演奏となりそうです。

演奏後の鳴りやまない拍手により一般参賀までついた聴衆の反応に、皆の思いが込められていると思います。

前半のモーツァルト交響曲第38番「プラハ」はモーツァルトの長調の音楽らしい華やかで暖かい演奏でした。シンプルではあるけど芳醇な香りがする音楽です。N響メンバーの管と弦のコントラストや掛け合いの楽しさもあります。プログラムでは28分のはずなのですが、40分近くかけた演奏としたところは、繰り返しにやや冗長な印象はありましたが、こんなに美しいモーツァルトの交響曲を聴ける身の幸せをつくづく感じさせてくれる時間でした。

今月はA,B,Cプロにフル参加予定です。


《一般参賀に応えるブロム翁》


第1894回 定期公演 Aプログラム
2018年10月14日(日)
開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

モーツァルト/交響曲 第38番 ニ長調 K.504「プラハ」
ブルックナー/交響曲 第9番 ニ短調(コールス校訂版)

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット



No.1894 Subscription (Program A)
Sunday, October 14, 2018
3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall

Mozart / Symphony No.38 D major K.504 “Prague”
Bruckner / Symphony No.9 d minor (Ed. by Cohrs)

Herbert Blomstedt, conductor
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