その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

『ラファエル前派の軌跡展』 @三菱一号館美術館

2019-06-02 09:49:49 | 美術展(2012.8~)

 金曜日の夕刻、週末突入の景気づけに好きな三菱一号館美術館に足を運んだ。ラファエル前派の理解者でありサポーターであったイギリスの美術評論家ジョン・ラスキンの生誕200年を記念して、ラファエロ前派およびその前後の関連する画家の作品を集めた特別展をやっている。

 ラファエル前派は好きなので、それなりに作品を見てきているつもりだけど初見(であろう)作品ばかりだった。有名な作品は多くはないが、周縁も含めラファエル前派関連の作品を広くカバーしているので、グループの成り立ちから解散後の発展も追うことができ19世紀後半のイギリス絵画の流れを理解するのにとっても良い。

  個人的に好きなアーサー・ヒューズやジョージ・フレデリック・ワッツの作品も数点あったのが嬉しかった。


アーサー・ヒューズ《リュートのひび》1861-62年 ターリーハウス美術館

 ただ、写真撮影可能なラファエル前派のコーナーは少し考えさせられた。絵の前に陣取って写真を全体から細部に至るまで撮りまくって占拠している輩がいて、なかなか見たい絵が見れない。いらいら。スマフォのシャッター音がひっきりなしに聞こえて来るのも、静かな美術館空間が美術館訪問の楽しみの一つである私には興を削がれる。メリットとデメリット比較したら、デメリットの方が大きいんではないかな。


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《祝福されし乙女》1875-81年 リヴァプール国立美術館、レディ・リーヴァー・アート・ギャラリー


ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ《ウェヌス・ウェルティコルディア(魔性のヴィーナス)》1863-68年頃、ラッセル=コーツ美術館

 そうした点を除いては、金曜夜の美術館は人も少なくゆっくりと落ち着いて1枚1枚の絵が見えるのが嬉しい。一人で来ている人が多いのも、そんな思いの人たちでしょう。6月9日までです。

(構成)
1 ターナーとラスキン
2 ラファエル前派同盟
3 ラファエル前派周縁
4 バーン=ジョーンズ
5 ウイリアム・モリスと装飾美術

コメント (2)
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