今シーズンの締めはパーヴォさんの登場です。個人的には、シーズンの始まりとお尻は、そのオケの顔の指揮者で聞きたいと思うたちなので、今シーズンは最高の始まりと終わりです。
前半のゲルネさんの「角笛」が圧巻でした。N響/パーヴォ/ゲルネの組み合わせは今回で私は3回目で、いずれも素晴らしいものでしたが、その中でも今年は傑出していました。ゲルネさんは決して声量で聞き手を圧倒するというタイプの歌い手ではなく、むしろ聞き手の聞き耳を立てさせるような微妙なニュアンスや歌い方を味わせる歌声です。噛めば噛むほど味がでるスルメではありませんが、聴けば聴くほど味が出るような感覚。前のめりで聞きました。
そして、N響との食い合わせが素晴らしい。N響のアンサンブルの美しいことといったらこれも涙もの。伴奏ではなく、ゲルネの歌声に優しく、柔らかに寄り添い、絶妙の歌と楽器のコンビネーションが楽しめました。ほんと、ブラボー。もう前半だけで帰ってもいいやと思ったほどです。
後半はニルセンの交響曲第2番。私は全く初めて聴く音楽ですが、初めてとは思えないほど楽しめました。「標題音楽」ではないらしいのですが、「標題」らしきものがついているので、ちょっと先入観を持って聞いてしまっているところもありますが、夫々の楽章の違いが楽しめます。パーヴォさんは明快に音楽の構図を示してくれるので、初めてでも無理なく聞け、この曲の雄弁でスケール感のあるオーケストレーションを楽しめました。
話題の最前列の方が曲に遅れての着席で、興が削がれたことこの上なかったこと以外は最高の音楽体験でした。
第1915回 定期公演 Aプログラム
2019年6月9日(日)
開場 2:00pm
NHKホール
マーラー/こどもの不思議な角笛*
ニルセン/交響曲 第2番 ロ短調 作品16「4つの気質」
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
バリトン*:マティアス・ゲルネ
No.1915 Subscription (Program A)
Sunday, June 9, 2019
3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)
NHK Hall
Paavo Järvi, conductor
atthias Goerne, baritone*
Mahler / “Des Knaben Wunderhorn”*
Nielsen / Symphony No.2 b minor op.16 “The 4 Temperaments”