続いて海岸へ出た。大洗海岸には幼いころ、夏休みの家族旅行で海水浴に来たことがあったはずだが、その時以来である。当時の記憶は殆ど無くなっていたが、海岸に出て岩にぶつかる波や波しぶきを見ていると、昔の思い出が少しずつ蘇ってきた。幼き頃の家族、亡き父を回想し、しばしセンチな気分に浸る。
〈この小さな灯台は記憶にあった>
〈もっと波しぶき豪快だったのだが、上手く撮れず〉
海岸沿いにそびえる様に立つ大洗磯前神社へ行く。階段を上ると分かるが、神社は鹿島灘の自然と一体である。「斉衡3年(856)12月29日に常陸国鹿島郡大洗磯前に御祭神大己貴命・少彦名命が御降臨」なさったのが由来と言うが、その通りに違いないと思わせる空気が境内に漂っている。その中で、ちょっとずっこけたのは、大洗町が舞台になっているアニメ「ガールズ&パンツァー」の大きな絵馬が堂々と拝殿前に配置してあったこと。これ、この神社のこの厳粛なる雰囲気を思いっきり崩してないかい?
〈大鳥居〉
〈神社境内から鹿島灘を見下ろす>
<結構、混んでます>、
〈ガルパン絵馬〉
ただ、本当に全くの偶然なのだが、その夜に「アド街」が「冬の大洗」特集をやっていて、それをホテルで見て合点がいった。大洗町は「ガールズ&パンツァー」とのコラボで町おこしをやっている。私は、漫画もアニメも知らないのでちんぷんかんぷんだったのだが、大洗町民と「ガル・パン」オタクの良き関係が紹介されていて、とっても微笑ましかった。そういうことだったのかと納得がいった。
観光で疲れてしまってはもともこもないので、海岸沿いの道を通って再び那珂湊エリアに戻る。エリアの見どころを廻りつつ、駅に向った。江戸時代以前の製作の梵鐘(県指定重要文化財)がある華蔵院、明治時代創業の和菓子屋さん(草餅を頂いた)、幕末時にあった反射炉跡(現在のものは復元)などに立ち寄って、駅に戻ってきた。
〈華蔵院。立派な門構えと本堂である〉
〈県指定重要文化財の梵鐘>
〈お菓子屋さん〉
<反射炉(復元)。大砲を製作していたとのこと>
4時間ほどのぶらサイクルだったが、オフシーズンならではの、落ち着いて素朴な街の良さを感じることができて、とっても満足度の高い充実した時間となった。観光パンフやチラシを見ると、行ってみたいところがまだまだ残っている。機会を見つけてまた訪ねたい。
〈反射炉のある高台から少し見下ろす町並み>
2020年1月25日