数年前から私にとって2月は演劇月間である。演劇のメッカ下北沢で「下北沢演劇祭」なるものが毎年開催されており、そのいくつかに足を運ぶのが定例となっている。今年はまず手始めに、劇団KEYBOARDの「だめだこりゃの王国」という演劇を観に行った。劇団KEYBOARDなる劇団は初めて。
どんな作品かは全くわからないのだが、タイトルに強烈に弾かれた。若い人には分からないだろうが、「だめだこりゃ」と言えばドリフ、ドリフと言えば大爆笑、なので思いっきり笑えそうという期待感たっぷりで小劇場楽園なるアングラ劇場に。
そしたら全然違った。喜劇どころか、思いっきりシリアスである。確かにパーツパーツでちょっとした笑いはあるが、基本、最後の最後まで真面目、そして最後は悲劇ということで、期待を大いに「裏切られた」上演だった。(駆け出し演劇鑑賞入門者の私には未だ行く演目の選び方が分からない)
ただ期待は裏切られたものの、それは私が勝手に描いた期待なので文句は言うまい。期待を差し置いて作品として見てみると、人の「幸せ」、人の行動の動機、(恋人だったり、家族だったりの)愛などについて考える機会を与えてくれた作品だった。ただ、私のような昭和残党には感情移入は難しいところはあるのも事実。世代によって受け止め方に差がでそうだ。
役者さんたちはどなたも熱演。主演の冨士枝鈴花さんのがんばりがとりわけ印象的だった。
それだけに、せめて結末はもう少しポジティブなメッセージで欲しかったかな。
2020年2月5日~16日