埼玉県蓮田市にある神亀酒造は、昔ながらの日本酒の製造過程を大切にし、「純米酒」のみを生産する。本書はその蔵元、小川原良征の日本酒に向き合う姿勢、考え、人生を追ったノン・フィクション。
日本酒は好きで、旅に出ると極力その地の酒蔵を見学する。だけど、蔵元やブランドにはこだわってないので、神亀酒造なるところは初耳だったし、それが社会人駆け出しのころの私の営業エリア内の蓮田にあるなんてびっくり仰天だった。
本書からは小川良の日本酒への愛、情熱、こだわり、誇りが痛いほど伝わってくる。また小川良の周りにいる人たちも「類は友を呼ぶ」に相応しい特徴ある人たちだ。日本酒の魅力がいろんな角度で語られ、読んでいるだけで呑みたくなってくる。
日本酒が気候、歴史、生活、農業らと密接に結びついた日本文化そのものであることも良く分かる。大切にすべき無形資産であることを再認識した。
(目次)
第1章 白ワインに負けぬ酒
第2章 女の細腕で守った蔵
第3章 トトロの森で醸す
第4章 農への心意気
第5章 万華鏡の酒
第6章 酒蔵再生