八王子城址を訪れる前に、近くにある(車で10分ほどの距離)武蔵野御陵に立ち寄った。大正天皇ご夫妻、昭和天皇ご夫妻が、眠られる(祀られている)御陵である。 子供の時に父と来たことがあるが、その時はまだ昭和天皇はお元気だったので、多摩御陵と言って大正天皇夫妻の御陵であったことをおぼろげながら覚えている。
お盆時だからと言ってお参りに来る人がいるのかどうかは分からないが、暑さもあってか、訪れている人は私のほかには、中年男性一人をお見かけした程度である。 入り口からの鳥居をくぐり、杉林の中に砂利を引き詰めた道を歩く。木の陰はあるが、既にかなりの温度に暖まった空気は避けられない。油蝉の鳴き声に囲まれながら、汗を拭いながら5分程度歩く。
大正天皇の墳墓の手前に昭和天皇の墳墓が新しく造られていた。 見上げるように作られた円墳の墳墓を拝む。驚くべきことだが、私には32年前に亡くなった昭和天皇のお墓は、1500年程前に造設された古墳と変わらないように見える(これでもサイズは小型化されてると言えるのかな?)。古代と現代の連続性、「神」としての日本の天皇の位置づけを目の当たりにして、ただただ驚く。 一方で、終戦の日を数日後に控え、昭和という日本史にとってこれ以上の激動期はなかったのではないかと思う時代の「主人公」として生きた昭和天皇の心身のストレスや責任にも想いが及ぶ。
〈昭和天皇の陵墓〉
〈鳥居をくぐって近づくと〉
政治的に取られるのは不本意だが、一度は訪れる価値がある。人によって感じ方は夫々だろう。私にはただただ不思議な気持ちにさせられる場所であった。
〈こちらは大正天皇の陵墓〉