ハッカーによる不正アクセス、アマゾンらへのフェイクレビュー、組織的な振込詐欺、ITアダルト産業、北朝鮮・ロシア・米国ら国家間でのサイバー謀略等、個人から国家に至る様々なレベルで行われるサイバー犯罪やその攻防を関係者からの取材によって明らかにする一冊。
トピックが興味深く誘われたが、内容は期待レベルに達せず肩透かし感が満載だった。まず新しい情報が少ない。Web記事やマスコミで報道されていたような内容が多く、「そうだったのか!」と驚くような記述は殆ど見当たらなかった。
また、内容的な深みも感じられないのも残念。週刊誌に掲載される事件レポートを集めたような編集で、構造的な分析があるわけでない。当事者への直撃インタービューが本書の売りのようだが、会話も想定内の内容でサプライズは無い。書籍ならではの深い情報と分析により、テーマについて理解が深まるという状況に遠かったのが歯がゆかった。
テーマの性格上、内容的に書けるところと書けないところがある故かもしれないが、一読者としては残念な一冊となったと言わざる得ない。
<目次>
Prologue
第一部 欲望に突き動かされし人々
chapter 1 未成年ハッカーと捜査官/攻防の全記録
chapter 2 アマゾンの五つ星は嘘まみれ/中国の黒幕が手口大公開
chapter 3 16歳が老人を食い物に/解明、詐欺のエコシステム
chapter 4 ネットで女性とお色気話/200億円産業に育てた男の野望
第二部 大義を背負いし人々
chapter 5 金正恩のサイバー強盗団/脱北者が決死の爆弾証言
chapter 6 恐喝、見殺し、爆殺……/英国人スパイの非情な戦争
chapter 7 信じたいからだまされる/世論操るクレムリンの謀略
chapter 8 超監視国家、IT乱用で出現/ウイグルから響く悲鳴
証言集 警官とスパイからの警告
警官の証言 「本物のワルはあなたの隣にいる」
スパイの証言 「この世界は汚れている」
Epilogue 生存の選択