虹色仮面 通信

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PBについて①

2012-12-28 09:38:20 | ビジネス
Business Journalより。

「週刊東洋経済 12/22号」の大特集は『PB(プライベートブランド)商品の裏側』だ。小売りが企画するPB商品の存在感が高まっている。現在、PBの市場規模は3兆円内外、増加率もここ数年2ケタ増を続けていると見られる。

セブン&アイ・ホールディングス、イオンのPB「トップバリュ」やコンビニ各社など小売り大手の大半が、PBの拡充やテコ入れに取り組んでいる。PBは小売りの自主企画商品で、基本的に小売りの全量買い取りで、メーカーは宣伝費や販促費を負担しない。その分、小売りは仕入れ値を抑えられ、低価格、高粗利益率を実現できる。NB(ナショナルブランド、メーカーの自主商品)に比べ、5~10%ポイント程度は荒利益率が高いと見られる。日本最大のPBは年商7000億円に達するイオンPBの「トップバリュ」だ。

こうした状況に対し、これまでメーカーの中には、PB受託拡大をちゅうちょする企業もあった。品目により粗利益率が10%ポイント程度低くなるうえ、自社商品(NB)と競合するおそれがあったからだ。

しかし、たとえば、コンビニでは1カテゴリーに1商品しか陳列されないこともあり、PBが優先的に陳列されるということになると、メーカーにとっては成長市場の販路喪失につながる。このため、PBを引き受けざるをえなくなっているのが現状だ。背景にはセブン、イオンの小売り2強が規模拡大によって、ますます存在感を増していることも大きい。

セブンイレブンではPB「セブンプレミアム」を展開し、順調に成長している。2007年に49品目でスタートし、12年度は1700品目、売上高4900億円への拡大が見込まれている。とくに、カフェラテ、緑茶、牛乳など、飲料PBの売り上げが大きいという。当初は中堅メーカーが製造を請け負うことが多かったが、現在では大手メーカーの名前がずらりだ。有名デザイナー、佐藤可士和氏のデザインによるロゴとパッケージの「セブンプレミアム」がまぶしい。

かつてはNB商品だけが並んでいたビール売り場も様変わり。最近はセブンイレブンのみで販売される専用商品や、ダブルブランド商品(セブンプレミアムのロゴとメーカーのロゴの両方が入っている商品)が次々と登場。11月にはついにセブンプレミアムのビールが登場したほどだ。

「セブンプレミアム」の大原則は、メーカーの商品と同等の品質で、かつお買得感があること。商品開発の出発点は、ベンチマークとなる既存のNB(メーカーの商品)を決めること。その商品に対する顧客の要望や不満点を調査し、新たなPB商品の開発につなげる。価格はベンチマークとなる既存のNB(メーカーの商品)より安く設定することだ。

ビールの場合、初めてセブン&アイグループ限定PB商品として開発した「セブンプレミアム 100%MALT(モルト)」では、価格はサッポロの黒ラベルより1割ほど安い198円。味はスーパードライを彷彿とさせるキレのある辛口で、メインターゲットもビール好きの40~50代に据えている。新商品発表会でセブンイレブンの役員は「スーパードライを超える商品にする」とブチあげたほどだ。

「セブンプレミアム」を掲げた格安ビールを発売したのは、国内ビール市場4位のサッポロビール。今までビール大手がPBビールを手掛けることはタブー視されていた。ビールの利益率は高いので、メーカーの大きな収益源だったからだ。しかし、消費者の嗜好は多様化し、ビール市場の縮小傾向は深刻で、業界4位のサッポロとしては、他社のシェアを奪うチャレンジが求められていたために、セブンイレブンと組むという選択肢にとびついたのだ。

といっても、セブンと組んでいるビール会社は、サッポロだけではない。残りのビール3社もセブン&アイの店舗でしか購入できない限定商品を、今年次々と発売しているのだ。キリンビールの「グランドキリン」、アサヒビールの「ザ・エクストラ」、サントリーの「深みの贅沢」などの限定商品は、価格は通常のビールと同等か1割高い価格設定ながらも好評だという。

セブン&アイは、ほかの小売りにはない商品を取り揃えて差別化を期すため、現在ビールの売上高の9%に過ぎないPB商品や限定商品の割合を、最大15%に拡大させる方針をとる。12月からはPBビールや限定販売商品をセブンの棚では、目線の高さの一番手にとりやすいところに並べている。これまでビール大手はNB(自社)商品に年間数百億円と膨大な販促費を投じて、売り場確保の競争に没頭していたが、セブンでは消費者が商品を手に取りやすい「特等席」が用意されることになる。基本は小売りの全品買い取りということもあって、在庫リスクもない。小売りの力がかつてないほどに強くなっているのが現状だ。

明日に続く。