衝撃的だった。
16日、アメリカ・ラスベガスで行われたインディカー・シリーズ最終戦で多重クラッシュが発生。
インディ500で2度の優勝経験を持つイギリス人ドライバー、ダン・ウェルドン選手(33歳)の死亡が確認された。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111017/k10013305271000.html
かれこれ30年以上、モーターレーシングを見てきているが、このスポーツは常に死と隣り合わせであることを、このような事故がある度に痛感させられる。
事実、過去にも多くのドライバーやライダーが、帰らぬ人となった。
その教訓を糧に安全性を高めていくのがモーターレーシングの世界であり、歴史でもある。
ある事故で犠牲者が出ると、その後確実に安全性は高まる。
今までその繰り返しで、今日のモーターレーシングが成立している。
でも死亡事故はなくならない。
それはより限界を高めて、レースをしているからだ。
常に限界ギリギリのところで戦っているのだ。
今回の事故で亡くなったダン・ウェルドンは、来季から導入される安全性の高いマシンの開発ドライバーであり、いろんな部分で彼の知識や経験が生かされているという。
その新型車の開発に携わったダンが、古いマシンで行われる最後のレースで亡くなった。
その意味では何とも皮肉な話しだ。
かのアイルトン・セナも晩年、安全性を声高に訴えていた最中、レース中の事故で亡くなった。
(タイヤがむき出しの)オープンホイール=フォーミュラカーは、タイヤ同士が絡まると、後続車が前の車のタイヤに乗りあがって、ついには舞い上がってしまう特性を持つため、大事故につながるケースが多い。
今回は、15台もの多重クラッシュだったので、後続のドライバーは避けようがなかったはずだ。
ましてや、200マイル(約320km)オーバーの猛スピードなのだから。
モーターレーシングにおいて、レーサーの死が無駄になったことはない。
今回の事故を教訓に、モーターレーシングは技術的に改善されながら続いていく。
それが、亡くなったダン・ウェルドンが、最も望んでいることではないか?
でないと、モーターレーシングに人生を捧げた彼の死は報われない。