産婦人科は、
新しい命の誕生を待ちわびる希望と、叶わない絶望。
明暗分ける2つの人種が、同じ待合室にいる不思議。
後者の私は、心を強く持たねばといつも思う。
施術日、当日。
病院の検査待合い室。 私もそうだが、
誰もが何かしらの不安を抱えているので
陽のオーラにあふれているものではなく、
独特の雰囲気。
緊迫感に、個を保とうと本を開くが、
まったく頭に入ってこない。
かといって 周りの方と話す元気もなく、
みな最初は、黙々と己を見つめていたが、
ほどなくして「私、初めてなので・・・」と
口火を切る勇者が現れ、破られた静寂。
そこから先はなんとなく
当たり障りのないことをぽつぽつ話しながら順番を待つ。
不安で体が冷えてきた私に
あたたかいお茶をくれた婦人との交流。
互いに励まし合うというか・・・
もう2度と会うことはない人たち。
それでも記憶に残るあたたかさに触れ、
一期一会を思う帰り道。