小学校の担任の先生へ 手紙を書きました。
毎年、この時期に恒例になりつつあるお手紙。
気持ちを伝えるために、妻と深夜に三時間くらい
何度も書き直しながら、書きました。
同じような立場になるご両親の参考になりますように。
「担任の先生へ」
一年生の時に担任の先生にお渡ししたお手紙に、少し書き加えさせていただきました。
大腿義足を履いていると…
●片足で健常の人より2倍、両足だと4倍疲られるそうです。
困難なこと…
●ジャンプ。(膝を伸ばす力がなく、くるぶしで蹴る力もないので力学的に当然です。)
●お尻をつけないで、しゃがむこと。(いわゆる和式トイレのスタイルが出来ません。)
●膝を少し曲げたまま立つこと。90度にしか膝は曲がりません。(正座や休めの姿勢が出来ません。アキレス腱伸ばしや軽い伸脚等の運動が出来ません。少し膝を曲げると90度まで一気に曲がってしまいます。)
●手すりやつかまるところ(壁でも可)やある程度の広いスペースがないと、連続した3段以上の階段は登りおりが難しいです。(2段くらいなら逆に出来るようです)
保育園で
●保育園3年間体育教室に通っていましたが、
縄跳び…手で縄を回してまたぐ。
跳び箱…跳び箱に手をついて片足ずつ持ち上げて押し出す。
マット運動…前回りはできます。後ろ回りは体を少し持ち上げる介助をしていました。
三点倒立は義足を脱ぐとできます。
鉄棒…前回りは出来ます。逆上がりは足を上に持ち上げる介助が必要です。
ボールつき…足の屈伸ができないため、難しいですが両手で10回できました。
かけっこ…速歩きで走ります。
●体操すわりはできます。屈伸は出来ません。正座は無理ですが、膝立ちは出来て膝歩きは得意です。
●股関節は柔らかく180度以上に開きます。前屈もおなかが膝につくくらいに柔らかいです。そのおかげで怪我が少なくなっています。内股側にも柔らかいため、両膝を90度に曲げての女の子すわりが可能です。
●合気道教室に通っています。動きの中でバランス感覚と受身、礼儀と体力つくりを兼ねつつ、護身術を学ばせています。(8級です。)
●保育園で、茶道での立位の茶道をはじめ、剣道の素振り、組立体操、集団移動、階段の雑巾がけ等、皆と同様におこなってきています。
日常生活において
●靴を履いたり脱いだりするときは、立ったままでは難しいため、少し段差のあるところに座ってやります。段差がないところでも、自分で膝を曲げて着脱できます。
●トイレは洋式であれば、自分ですべてできます。
●義足の着脱はすべて自分でできます。(水泳以外では着脱することは基本的にありません。)
●階段は手すりがあれば、ゆっくりですが手すりを使って登ります。降りるのは比較的早いです。横をお友達が通るときは、立ち止まり先に通します。
→ 保育園では教室が三階であったため、毎日昇り降りしていました。
→ 放課後学級が三階のため、毎日階段を昇り降りしています。
●椅子を座ったまま自分で前後に引くことが出来ないので、横から滑り込むように座れない形の椅子に座る場合は、椅子に座ってから机を自分の方に寄せるように動かして座ることになります。
プール
昨年度は秋に8回、冬に8回、中村スポーツセンターの短期水泳教室(30人クラス)に通い、頭のてっぺんまで躊躇せずにもぐったり、集団にもまれてバランスを崩してもおぼれたりすることなく復活できるようになってきました。個人指導のプール教室にも月に一度、さらに12月から3月までは週に一度、別途水泳をボランティアの方に見ていただいていました。
●プールサイドまでは水泳用義足に履き替えて移動します。(義足を脱いだ状態の樹脂の靴下でも移動は可能です。)
●プールの中を歩くときは、水泳用義足をつけたまま歩きます。
●本格的に泳ぐときは、義足を脱いだほうが速く泳げるようになると思います。今はビート版で顔つけをしながら手回しをする練習。息継ぎの練習、背浮きの練習をしています。
●義足を濡れてもいいものに履きかえるので、着替えの時間が少し長くなります。また、水泳後には濡れている義足を履いたまま着替える場所まで行き、脱いで元の義足に履き替えます。
●水泳用義足の着脱は、床に大きなタオルを敷いて作業すれば、15分くらいで可能です。ただ、濡れた義足をしまったり運んだりすることや、水泳用の義足を運んだり袋から出したりすることが義足の重さを考えると難しいかもしれません。
心配なこと
●長距離を歩くときは、だんだん疲れてきて、みんなの歩く速度になかなかついていけなくなるかもしれません。→本人の体力によるので、年齢と共に変わってきています。
→ 一年生の秋から冬にかけて、毎日トワイライトスクールの帰り道に校内を何周かして歩く練習をしていました。やはり毎日歩く練習をしていると歩くスピードは確実に速くなります。
●給食当番のとき、鍋や牛乳の箱などの重いものをもった場合、今のところはすこし危なっかしいです。もったままで階段を上り下りするのは片手が自由にならないと辛いです。
●ごくまれにですが、足がつるような痛みを断端に感じることがあるらしく、そうなると通常の“つった”場合と異なり対処法がないため、うずくまってじっと直るまで数十分程度待つしかない場合があります。
●風邪をひいた場合、発熱した場合など、通常の児童と異なり、歩行が難しくなる場合があります。(義足での歩行はかなりハードな運動であり、通常での激しい運動に匹敵するとお考えください。)その場合には、遠慮せずに家族に連絡をお願いします。
精神面で
●保育園は小さい頃から(0歳児クラス10月から)入園しており、お昼寝やプールのときは義足を脱いでいたこともあり、周囲の友達も義足を履いていることや、膝までしか両足がないことを知っており、最近では娘へのそれらの質問も少なくなってきています。
●当然ながら、小学校では娘の両足のことを知らない子が増えるため、「どうして歩き方が皆と違うのか。」「なぜ膝までしか足がないのか。」など、本人も質問されることが多くなることが予想されます。
→ どうして?と何度も聞かれると、本人も答えられないため、かなりストレスになるようで、一年生のときは知らない子ばかりだったので、四月に本人の希望でクラスのみなに説明しました。介助員の方の協力もあり、だんだん自分でもお友達に大事な足であることを言えるようになってきたようです。それでもよく知らない他の学年の子に何度も言われたりすると、泣けてしまったこともありました。
●保育園では先生から園児全員に対して、「おなかの中で怪我をしたんだよ。どうして怪我をしてしまったのかは、だれにもわからないんだよ。」「歩けるようになるために手術をして、義足が履けるようになったんだよ。」と説明してもらっていました。
→ 一年生のときは、各クラスと図書室に「さっちゃんの魔法の手」という本を置いていただきました。小学生にはどういう説明が理解しやすいのかわかりませんが、メンタル面でサポートしていただけるとありがたいです。
●娘には、小学校で将来のために集団生活を学ばせたいです。集団生活の中で、怪我をしたり泣けてしまったり、嫌な想いをすることは誰にでもある当然なこと。だから、例えばもし、怪我をしたり嫌な思いをすることがあっても、それについて学校や先生、相手の子供等を責めることなく、「お互いに良い経験になった」と前向きに考えていきたいと思います。
●学校での生活では、体育、プールや課外活動等を特別扱いせず、ほかの事と同様にできる限りみなと一緒にできる範囲でやれればいいと思います。100パーセント皆と同じようにできる必要はなく、やれる範囲で、可能性の目を摘まないようにしていけたら良いと思います。
集団の中でいかに行動すれば周りに適応していけるかを学ばせる機会として学校生活を捉え、自分自身で考えて行動できる力を、つけていけるようにできたらと思います。
大変お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
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毎年、この時期に恒例になりつつあるお手紙。
気持ちを伝えるために、妻と深夜に三時間くらい
何度も書き直しながら、書きました。
同じような立場になるご両親の参考になりますように。
「担任の先生へ」
一年生の時に担任の先生にお渡ししたお手紙に、少し書き加えさせていただきました。
大腿義足を履いていると…
●片足で健常の人より2倍、両足だと4倍疲られるそうです。
困難なこと…
●ジャンプ。(膝を伸ばす力がなく、くるぶしで蹴る力もないので力学的に当然です。)
●お尻をつけないで、しゃがむこと。(いわゆる和式トイレのスタイルが出来ません。)
●膝を少し曲げたまま立つこと。90度にしか膝は曲がりません。(正座や休めの姿勢が出来ません。アキレス腱伸ばしや軽い伸脚等の運動が出来ません。少し膝を曲げると90度まで一気に曲がってしまいます。)
●手すりやつかまるところ(壁でも可)やある程度の広いスペースがないと、連続した3段以上の階段は登りおりが難しいです。(2段くらいなら逆に出来るようです)
保育園で
●保育園3年間体育教室に通っていましたが、
縄跳び…手で縄を回してまたぐ。
跳び箱…跳び箱に手をついて片足ずつ持ち上げて押し出す。
マット運動…前回りはできます。後ろ回りは体を少し持ち上げる介助をしていました。
三点倒立は義足を脱ぐとできます。
鉄棒…前回りは出来ます。逆上がりは足を上に持ち上げる介助が必要です。
ボールつき…足の屈伸ができないため、難しいですが両手で10回できました。
かけっこ…速歩きで走ります。
●体操すわりはできます。屈伸は出来ません。正座は無理ですが、膝立ちは出来て膝歩きは得意です。
●股関節は柔らかく180度以上に開きます。前屈もおなかが膝につくくらいに柔らかいです。そのおかげで怪我が少なくなっています。内股側にも柔らかいため、両膝を90度に曲げての女の子すわりが可能です。
●合気道教室に通っています。動きの中でバランス感覚と受身、礼儀と体力つくりを兼ねつつ、護身術を学ばせています。(8級です。)
●保育園で、茶道での立位の茶道をはじめ、剣道の素振り、組立体操、集団移動、階段の雑巾がけ等、皆と同様におこなってきています。
日常生活において
●靴を履いたり脱いだりするときは、立ったままでは難しいため、少し段差のあるところに座ってやります。段差がないところでも、自分で膝を曲げて着脱できます。
●トイレは洋式であれば、自分ですべてできます。
●義足の着脱はすべて自分でできます。(水泳以外では着脱することは基本的にありません。)
●階段は手すりがあれば、ゆっくりですが手すりを使って登ります。降りるのは比較的早いです。横をお友達が通るときは、立ち止まり先に通します。
→ 保育園では教室が三階であったため、毎日昇り降りしていました。
→ 放課後学級が三階のため、毎日階段を昇り降りしています。
●椅子を座ったまま自分で前後に引くことが出来ないので、横から滑り込むように座れない形の椅子に座る場合は、椅子に座ってから机を自分の方に寄せるように動かして座ることになります。
プール
昨年度は秋に8回、冬に8回、中村スポーツセンターの短期水泳教室(30人クラス)に通い、頭のてっぺんまで躊躇せずにもぐったり、集団にもまれてバランスを崩してもおぼれたりすることなく復活できるようになってきました。個人指導のプール教室にも月に一度、さらに12月から3月までは週に一度、別途水泳をボランティアの方に見ていただいていました。
●プールサイドまでは水泳用義足に履き替えて移動します。(義足を脱いだ状態の樹脂の靴下でも移動は可能です。)
●プールの中を歩くときは、水泳用義足をつけたまま歩きます。
●本格的に泳ぐときは、義足を脱いだほうが速く泳げるようになると思います。今はビート版で顔つけをしながら手回しをする練習。息継ぎの練習、背浮きの練習をしています。
●義足を濡れてもいいものに履きかえるので、着替えの時間が少し長くなります。また、水泳後には濡れている義足を履いたまま着替える場所まで行き、脱いで元の義足に履き替えます。
●水泳用義足の着脱は、床に大きなタオルを敷いて作業すれば、15分くらいで可能です。ただ、濡れた義足をしまったり運んだりすることや、水泳用の義足を運んだり袋から出したりすることが義足の重さを考えると難しいかもしれません。
心配なこと
●長距離を歩くときは、だんだん疲れてきて、みんなの歩く速度になかなかついていけなくなるかもしれません。→本人の体力によるので、年齢と共に変わってきています。
→ 一年生の秋から冬にかけて、毎日トワイライトスクールの帰り道に校内を何周かして歩く練習をしていました。やはり毎日歩く練習をしていると歩くスピードは確実に速くなります。
●給食当番のとき、鍋や牛乳の箱などの重いものをもった場合、今のところはすこし危なっかしいです。もったままで階段を上り下りするのは片手が自由にならないと辛いです。
●ごくまれにですが、足がつるような痛みを断端に感じることがあるらしく、そうなると通常の“つった”場合と異なり対処法がないため、うずくまってじっと直るまで数十分程度待つしかない場合があります。
●風邪をひいた場合、発熱した場合など、通常の児童と異なり、歩行が難しくなる場合があります。(義足での歩行はかなりハードな運動であり、通常での激しい運動に匹敵するとお考えください。)その場合には、遠慮せずに家族に連絡をお願いします。
精神面で
●保育園は小さい頃から(0歳児クラス10月から)入園しており、お昼寝やプールのときは義足を脱いでいたこともあり、周囲の友達も義足を履いていることや、膝までしか両足がないことを知っており、最近では娘へのそれらの質問も少なくなってきています。
●当然ながら、小学校では娘の両足のことを知らない子が増えるため、「どうして歩き方が皆と違うのか。」「なぜ膝までしか足がないのか。」など、本人も質問されることが多くなることが予想されます。
→ どうして?と何度も聞かれると、本人も答えられないため、かなりストレスになるようで、一年生のときは知らない子ばかりだったので、四月に本人の希望でクラスのみなに説明しました。介助員の方の協力もあり、だんだん自分でもお友達に大事な足であることを言えるようになってきたようです。それでもよく知らない他の学年の子に何度も言われたりすると、泣けてしまったこともありました。
●保育園では先生から園児全員に対して、「おなかの中で怪我をしたんだよ。どうして怪我をしてしまったのかは、だれにもわからないんだよ。」「歩けるようになるために手術をして、義足が履けるようになったんだよ。」と説明してもらっていました。
→ 一年生のときは、各クラスと図書室に「さっちゃんの魔法の手」という本を置いていただきました。小学生にはどういう説明が理解しやすいのかわかりませんが、メンタル面でサポートしていただけるとありがたいです。
●娘には、小学校で将来のために集団生活を学ばせたいです。集団生活の中で、怪我をしたり泣けてしまったり、嫌な想いをすることは誰にでもある当然なこと。だから、例えばもし、怪我をしたり嫌な思いをすることがあっても、それについて学校や先生、相手の子供等を責めることなく、「お互いに良い経験になった」と前向きに考えていきたいと思います。
●学校での生活では、体育、プールや課外活動等を特別扱いせず、ほかの事と同様にできる限りみなと一緒にできる範囲でやれればいいと思います。100パーセント皆と同じようにできる必要はなく、やれる範囲で、可能性の目を摘まないようにしていけたら良いと思います。
集団の中でいかに行動すれば周りに適応していけるかを学ばせる機会として学校生活を捉え、自分自身で考えて行動できる力を、つけていけるようにできたらと思います。
大変お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
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