かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

句読点の違いは,やっぱりココが学研都市にあるホテルだから?

2007-11-09 05:18:37 | Weblog
 昨夜は日記を書いてすぐ寝てしまったのですが,早く寝たせいか目覚めるのも早くなって,まだ夜中といっても差支えない時間の今に,人気のないホテルのロビーに据えられたPCに向かっております.
 本当はもう少し惰眠をむさぼりたかったのですが,まどろむうちにも色々と考え事が去来して,眠気の割には夢の世界に旅立つことが出来ません.何を考えていたのかはいずれ公開できるときが来ると思いますが,端的にまとめると,今取り組みつつある「課題」と,その「課題」に役立ちそうな私の過去の「作品」についてです。実際新しいものを0から生み出す,というのはそう簡単になしうることでもなく,勢い,昔考えていたお話やらお蔵入りした設定やらを引き出して,上手くアレンジできないものか,と考えるのが取っ掛かりとしてはやりやすいことではあります.そういう過去の引き出しを開けて中身をごちゃごちゃいじくっているうちに,あるときふとアイデアを思いついたりすることもあるので,こういう時間というのは無駄なように見えて実は一番貴重だったりするのです.それになんといっても一番楽しい時間でもあります.
 今,連載している「ドリームジェノミクス」ももちろんそういう課程を経て生まれた物ですが,夏コミを終えてほっと一息ついた後に冬コミ参加作品として書いたものですから,なんといっても時間が不足気味でした.当初はすぐに気づかなかったのですがア,今改めて読み返してみるに,どうも練りの足りない設定がそこココに散見されるのが見えてきます.それらを改めて練りつつ,気になるところ,書き足りなかった所,逆に書き込みすぎたところを直している最中なのです。
 今上げつつある部分は,本作の敵役である高原の考え方が端的に現われる部分ですのでこの作品の中ではかなり重要なパートなのですが,ちと趣味に走りすぎたというか,作中の美奈ちゃん同様読む人を置いてけぼりにして一人悦にいったような部分があります。そのあたりが上手く直ってくれればいいんですが、果たしてどうなるでしょう?
・・・ところでこのPC,今頃気づいた,マアはっきりいってどうでも良いことなのですが,句読点が、。じゃなくて,.になっていますね。研究論文などでは通常,.を使用するのですが,何となくこういうどうでも良い所に,なるほど,ココはつくばなのだな,とヘンな感心を覚えた次第.では,明日明後日は多分更新出来ませんので,今のうちにもう1つ,アップしておきましょう.
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7.高原の夢 その3

2007-11-09 05:10:47 | 麗夢小説『ドリームジェノミクス』
「ええと、そうだな、君にはまだ私の実験の目的を、ちゃんと話してなかったから、その話でもしよう。君は、夢とは何だと思う? もちろん今見ているこの夢のことだが」
「夢、ですか?」
 美奈は以前麗夢達とおしゃべりしたときのことを思い出した。
「良く判りませんけど、きっと生きていくのにとても大事な役割があるんだと思います」
 すると高原は、ふふん、と軽く鼻で笑って、美奈に言った。
「例えば?」
 あまりに早く返されて、美奈はまた考えに沈んだ。
「例えば・・・、えーと、例えば、記憶の整理とか・・・」
「模範的解答だな。それは君の考えかね?」
「い、いえ。麗夢さんから教えて貰って、そうなのかな、と思って・・・」
 すると高原は、再び微かに嘲りの色を浮かべて微笑んだ。
「なるほど、な。まあいい。確かに睡眠、特にレム睡眠には記憶の強化という側面があることは証明されている。だが、レム睡眠と夢とは違う。その事は知っているかね?」
 美奈はきょとん、として首を横に振った。
「レム睡眠って、夢を見るときに起きるんじゃなかったんですか?」
「違うな。REM睡眠は、睡眠中に脳のある特定の部分が活性化する現象だ。今言った記憶の強化や、恒温動物が体温を保つなどの体の機能維持に重要な役割を果たしている。恐らく、消耗した維持機能をリセットし、目覚めた後再びちゃんと活動できるようにするためなのだろう。だが、夢は別にREM睡眠でなくても見ることは普通にある。REM睡眠中に多いのは事実だが、それを考慮しても、夢が重要だと言うのは間違いだ」
「間違い、ですか」
「そうだ。夢というのは、睡眠中に活性化する脳の中で生じる、一種の幻覚に過ぎない」
「幻覚・・・」
「頭の中だけで繰り広げられる、脈絡のない架空の物語。誤解を恐れずに言うなら、人は毎夜生命維持のために働く脳によって、一時的に正気を失う。一種の副作用のようなもので、それ自体に大した意味はないと言うのが、私の夢の解釈だ」
 高原の断定に、美奈は反発を覚えた。では、この夢はどうなのか。脈絡が無いどころか、ちゃんと筋道立ててこうして話をしているではないか。高原は、再びふふん、と笑みを漏らすと、美奈の考えを読みとったように話を続けた。
「普通、人は夢の中でそれを夢と気づくことはない。どんなに突拍子のないことが起きても、例えば登場人物が入れ替わったり、全然違う場所なのに、それが自分の良く知っている場所だと誤解したり、はたまた道具も無しに空を飛んでみたり、とんでもない怪物に襲われてみたり。数え上げればきりがないほどだが、そんなファンタジックな状態に置かれているのに、夢の中で人はまず間違いなくそれが夢だと気づくことはない。それは判るね?」
 美奈はこくりと頷いた。自分が覗いてきた数々の夢で、美奈の存在に気づいたのはこれまでただ二人がいるに過ぎない。目の前の男と、麗夢だけである。高原は指を解いて、おでこを指さしながら言った。
「何故そうなるのか。難しいことを言い出せばきりがないが、要するに夢を見ている時は、理性的に判断したり、おかしいぞ? と感じる脳の部分、例えば前頭前野背外側部などの活動が低下する一方で、感情や感覚の部分、例えば大脳辺縁系などの活動が高まる。だから、とんでもない非現実的な世界を、非常にリアルに感じて疑うこともできないわけだ」
「でも、私や麗夢さんは違う・・・」
「そうだ。私や君たち、さっきの二人もそうだが、我々は普通の人達と違い、これが夢であることを理解し、こうして自由に思考し、理性的にふるまうことが出来る。これは、大脳辺縁系が活発化すると同時に、前頭前野背外側部も活動を停止することなく、動いていると言うことだ。今、計測している君の脳も、ちゃんとその通り記録されているはずだ。ただ、夢の中で、それが夢だ、と理性的に判断し、自由に行動する能力は、普通の人間でも訓練次第で身につけることが出来る。対して我々は、更に他人の夢に入って、その中で自由に振る舞うという特殊な能力を持っている点が特殊な訳だ。今、まさにその能力を発揮している君の脳を計測しているんだよ。既に私自身の夢見時の脳活動域は計測済みだから、目覚めの後、君と私のデータを比較し、共通に活性化している部位を探り当てることで、我々が他人の夢に入るとき、脳のどの部分が働いているのかが解ける訳だ」
 高原は再びテーブルにひじをついて指を組んだ。美奈は難しい理屈はさておいて、とにかく目の前の科学者が、互いの夢を見ているときの頭の中の状態を比べたいと思っていることは理解した。そして、それが自分達の持つ特別な力の源に繋がる、と言うことも。ただ美奈にとって腑に落ちないのは、高原がそんな能力を全て脳の問題だと考えている点だった。もっと魂というか、心の問題というのは関係ないのだろうか? すると、高原は言った。
「君は心と脳は別のものだと考えているのかね? まあ君はまだ中学生だからそう考えるのも無理はないが、もしそう信じているのなら認識を改めたまえ。我々の思考、感情、自分が自分であるという認識、これらいわゆる心を構成するものは、全てこの頭の中にある。大脳を構成する一千億のニューロン細胞とそのネットワークにあるんだ」
「じゃ、じゃあ夢魔って何なんです? 夢魔の女王って、どうやって私や麗夢さんを襲ってきたんですか」
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