かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

アニメ産業が失速しているそうですが、国が支援しようと腰を上げたのが原因だったりしないでしょうね?

2009-05-06 23:15:47 | アニメ特撮
 せっかくのゴールデンウィークなので、引越し作業の合間に連載小説の臨時アップを再び行いました。円光とにかく強い! というところでとりあえずしめたわけですが、一体どうやって黒ずくめの男達をたたき伏せたんでしょう?(笑) 
 小説の便利なところは、こういう横着が出来るところで、円光さんの活躍をアニメで知るものならば、情景を事細かに描かなくても自然に脳内補完してくださるでしょうし、知らないヒトでも、とにかく強いということで印象付けられたらそれで十分というわけです。これがアニメなら、肉弾戦はやはりちゃんと肉弾戦として描かないとなりません。小説なら「あっという間にのした」と一行書けばすむところも、何十枚も動画を描き、それをセルに置きかえて撮影、編集し、更に効果音やせりふなどをつけて、ようやく1幕の活劇を構成できるわけで、その苦労たるやとても小説などの比ではありません。
 今、そんな苦労をともなうアニメがとにかくめったやたらと量産されておりますが、このところ、そんな雨後のたけのこ状態に、かげりが出てきているんだそうです。深夜に1クールだけ放送して、DVDやら関連商品を出してそれで資金を回収する、というようなスタイルが定着して数年になろうかと言うところでしょうが、いまやDVDの売り上げが落ち、製作本数も減ってきているのだとか。
 私はもともとDVDが出るたびに買えるほど大きな財布は持ち合わせておりませんし、そもそも巷にあふれかえるDVDを購入し続ける購買層が存在すること自体信じがたい気がするのですが、本当に皆さんアニメのDVDなどを、ひっくるめて一千億円産業になるほどに購入されているのでしょうか? まあ田舎住まいでは、テレビで見られるアニメ自体本数はごく限られてしまいますし、そういう制限のない東京の方と比較することが前提として間違っているような気もいたしますが、やっぱり一枚何千円もしたり、ボックスになったら数万円もするものを購入し続ける層がいるということが、にわかには信じがたいのです。
 それにしても、国が支援に乗り出そうとした矢先の失速。わが国の農業を根本的に破壊しつくした農水省や医療崩壊を招いた厚労省の二の舞を経産省がやらかさないように、手を出すのなら十分注意して事に当たって欲しいと思います。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

.06 円光助太刀 その2

2009-05-06 11:57:03 | 麗夢小説『向日葵の姉妹達』
「危ない!」
 卑怯にも円光の背中めがけて襲いかかった男は、瞬間、今攻撃した坊主の頭が自分の下を高速に通り過ぎるのを見て呆気にとられた。が、その思いも瞬く間にぷつんと途絶えた。次の瞬間には、男は円光達を飛び越えた末、頭から砂に突っ込んでしまったからである。カエルを踏みつぶしたときのような、いわく言い難い断末魔を上げて男が気絶するや、円光は鋭い視線を残る三人に射込み、地鳴りのような声で告げた。
「まだ手向かいするか」
 あきらかに男達が動揺を示した。どうやら自分と相手の力量を計るくらいの力はあるらしいと円光は見て取る。だが、だからといって潔く引けるかどうかはまた別問題であるらしかった。
「きぇえええっ!」
 先頭の一人が突然高々と足を蹴り上げた。同時に左右から二人が体勢を低く取って円光目がけて突っ込んだ。男の足は間合いが遠く円光には届かなかったが、もとより足技で倒そうというのではない。男は足先で多量の砂を蹴り上げたのだ。突然の目くらましに、さしもの円光も一瞬棒立ちになったかに見えた。砂を蹴り上げた男がにやりと笑みをこぼし、左右から体制低く突っ込んだ男達も、自分達の勝利を確信した。
 だが、瞬間的な交錯の後、その膝下にくずおれたのは、必殺の間合いで突っ込んだはずの二人の男の方であった。円光はほとんど動いていないように見えたのに、何時やられたのか、二人の男はうつ伏せになって円光の足元に転がっていたのである。
 円光はその二人の末路を見届ける間もなく、ずいと身体をただ一人残った男の方へ押し出した。円光が一歩進むたびに、男の方が三歩下がった。やがて円光が更に進むと、男はその眼圧に屈したかのように、腰砕けに尻餅をついた。
「これ以上の手出しは無用だ。早々に立ち去れい!」
 円光の怒声に、残った一人はひっと悲鳴をかみ殺し、そのまま這々の体で砂浜をはって逃げ出した。周りの野次馬が歓声を上げて円光の武勇を讃えたが、円光は別に大した事でもないと澄まし顔で、シェリー達に歩み寄った。
「あ、ありがとう円光さん」
「シェリー殿、久しいな。息災であったか?」
 シェリーはきょとん、として円光の顔を見つめた。シェリーには円光の時代がかった物言いが理解できなかっただけなのだが、円光の方はと言うと、しばしこれもシェリーを凝視した末、はっと驚いてシェリーに言った。
「シェリー殿! 何時の間に日本語に堪能になられたのだ?」
「あの後勉強したの。麗夢さんやアルファ、ベータとちゃんとお話しできるように」
「そうか、それは殊勝なことだ。して、そちらの方は?」
 円光は、のびている黒づくめを足でえいえいと蹴りつけている金髪の美少女を指さした。シェリーは苦笑いを隠さずに、円光に答えた。
「私のお姉さま、と言うか……」
「そうか、シェリー殿の姉君か、佐緒里殿、とこ奴らが呼びかけていたように聞こえたが……」
 すると少女は、突然くるりと振り返ると円光に叫んだ。
「あたしは佐緒里なんて言う名前じゃないの! 絶対その名前で呼ばないで頂戴!」
「お、お姉さま、助けて頂いたのだから、お礼くらい言わないと」
「別に助けてくれって頼んだ訳じゃないもん」
 ぷいと腕を組んでそっぽを向いた様子が、子供子供していてついつい円光とシェリーは吹き出してしまった。
「な、何よ何よ! 二人して気持ち悪い!」
 憤慨する少女に、円光は笑いを堪えて問いかけた。
「これは相済まぬ。して、佐緒里殿でないとすれば、貴女のことはなんと呼べばいい?」
「もちろん、シェリーちゃんのお姉さま、よ」
 ね、シェリーちゃん、とたちまち機嫌を直してその腕に絡みついた少女に、円光は改めて問いかけた。
「ではシェリー殿の姉上殿、この男達は一体何なのだ?」
「知らなーい!」
「知らぬことはあるまい。この男達は明らかにそなたを見知っていたようだが」
 なおも円光が問いかけると、少女は再び頬を丸く膨らませて言った。
「知らないものは知らないのよ! しつこい男なんて大嫌いなの!」
「ちょっと、お姉さま!」
「シェリーちゃん、海水浴はこれで終了! 次、行くわよ!」
「ま、待って!」
 強引にシェリーと腕を組んで海の家目指して歩き出した少女は、一度だけ円光に振り向いて言った。
「お坊さんも、早く服着ないとおいてくわよ」
 円光はようやく自分が下帯一枚であったことを思い出し、小さなくしゃみをして少女に笑顔を刻ませた。
(はて面妖な……。あの顔、どこかで見たような気がするのだが。うーむ、思い出せん……)
 円光は首を傾げつつ、油紙に包んで担いできた墨染め衣を肩から下ろした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする