昨日のお酒が少し過ぎていたのか、今日は昼前までひたすら眠り続け、起きてからも、意識がいまいちしゃっきりしないまま、一日が過ぎてしまいました。天気もそう悪いわけでもなかったのに一歩も外には出ずじまいでしたし、一日をまあ見事に無駄遣いしてしまった事になります。なんとも勿体無い時間の使い方をしたものですが、まあたまにはこういうぐうたらな贅沢も良かろうと考えています。明日もそれではちょっと流石にもったいな過ぎますが、休める時には休んでおくのが良かろうと思うのです。
さて、時間をのんべんだらりと過ごしつつ本一冊読み終えたので、その感想を記しておきましょう。
「源氏物の怪語り」渡瀬草一郎著 メディアワークス文庫、です。
そもそもメディアワークス文庫って知らなかったのですが、ぐぐってみると電撃文庫と同じ会社で、ターゲット層はいわゆるライトノベルを卒業する人達、キャッチコピーは、ずっと面白い小説を読み続けたい大人たちへ――、なのだそうです。してみると、今はライトノベルで活字に触れ、その後例えばこの文庫みたいにちょっと幅を広げて本を読んでいく、というような読書遍歴が想定されているのでしょうか? 私が子供の頃はもちろんライトノベルなど無くて、児童文学の後は早川SF文庫や創元推理文庫、ちょっと背伸びして新潮文庫や岩波文庫などで明治の文豪や古典文学などを渉猟したものですが、それに比べると、今はステップアップも随分バリアフリー化が進んでいるのかもしれません。
まあそれはともかく、この本はたまたま出張の時に立ち寄った駅構内の書店で、とりあえず行き帰りの2時間ばかりの間を暇つぶしするのによさそうな本、ということで買い求めたものでした。元々歴史伝奇物は好きですし、次に書こうと思っているものの舞台が平安時代だったりするので、一体現代の作家はこの時代をどう描いているのか、ちょっと参考にしてみようと手にとってみたのでした。
さて、この本は、、伊勢大輔、和泉式部、中宮彰子、赤染衛門、と言った歌人達が見舞われる怪異に、主人公の紫式部と、その娘に取り憑いた(?)今は亡き紫式部の姉とがその対処に活躍する怪異譚で、藤原道長など有名な面々が脇役として物語に華を添えています。ところどころに有名な歌が書き付けられて王朝の雅を醸し出しつつ、小難しい歴史設定などは適度に端折られて、読みやすい文体ですんなりと物語が進行するテンポの良さが心地よく感じられます。登場するヒロイン達の話し言葉は、まあ当たり前といえば当たり前なのですが現代的な語り口になっていて、性格設定なども今風です。時にそれがあざとすぎる気もするのですが、といって当時の語り言葉や人々の性格、認識などなどを愚直に再現してみたところで単に読みにくくってしょうがないでしょうし、そんなものが読みたいなら黙って今昔物語などを紐解けば良いわけです。私としては、これはこれでありなのだろう、と大いに参考になりましたが、一言で言えば、TV時代劇的な小説という感じで、欲を言えば、そんな煌々とライトが照らされた中で撮影されたような感じじゃなくて、もう少し当時の夜の暗さがイメージできるような描写が欲しかったかな? とは思いました。
物の怪が色々出ますが、切った張ったと大立ち回りが演じられるわけでもなく、不可思議で怪奇な呪術や魔術がバンバン飛び交うわけでもありません。そういう内容はそれこそ「ライトノベル」で、ということなのでしょうか。個人的には、こういう「静かな」展開は嫌いではありません。
ところで、初め作者も確認せずに表紙買いしてそのまま読み始めたために、最後まで作者は女性だろうと思い込んでおりました。どこでそう感じたか今となっては明確に思い出せないのですが、最後の最後であとがきの末尾に書かれていた名前で、初めて男性作家だったことに気づいた次第です。読み終わって、衝撃を受けたり感動したり魂を揺さぶられたり、というような劇的な体験はありませんでしたが、充分読み返したくなる良作だと感じました。調べてみたら平安モノをまだ何冊か書いている作家のようですので、また機会を見て読んでみたいと思います。
さて、時間をのんべんだらりと過ごしつつ本一冊読み終えたので、その感想を記しておきましょう。
「源氏物の怪語り」渡瀬草一郎著 メディアワークス文庫、です。
そもそもメディアワークス文庫って知らなかったのですが、ぐぐってみると電撃文庫と同じ会社で、ターゲット層はいわゆるライトノベルを卒業する人達、キャッチコピーは、ずっと面白い小説を読み続けたい大人たちへ――、なのだそうです。してみると、今はライトノベルで活字に触れ、その後例えばこの文庫みたいにちょっと幅を広げて本を読んでいく、というような読書遍歴が想定されているのでしょうか? 私が子供の頃はもちろんライトノベルなど無くて、児童文学の後は早川SF文庫や創元推理文庫、ちょっと背伸びして新潮文庫や岩波文庫などで明治の文豪や古典文学などを渉猟したものですが、それに比べると、今はステップアップも随分バリアフリー化が進んでいるのかもしれません。
まあそれはともかく、この本はたまたま出張の時に立ち寄った駅構内の書店で、とりあえず行き帰りの2時間ばかりの間を暇つぶしするのによさそうな本、ということで買い求めたものでした。元々歴史伝奇物は好きですし、次に書こうと思っているものの舞台が平安時代だったりするので、一体現代の作家はこの時代をどう描いているのか、ちょっと参考にしてみようと手にとってみたのでした。
さて、この本は、、伊勢大輔、和泉式部、中宮彰子、赤染衛門、と言った歌人達が見舞われる怪異に、主人公の紫式部と、その娘に取り憑いた(?)今は亡き紫式部の姉とがその対処に活躍する怪異譚で、藤原道長など有名な面々が脇役として物語に華を添えています。ところどころに有名な歌が書き付けられて王朝の雅を醸し出しつつ、小難しい歴史設定などは適度に端折られて、読みやすい文体ですんなりと物語が進行するテンポの良さが心地よく感じられます。登場するヒロイン達の話し言葉は、まあ当たり前といえば当たり前なのですが現代的な語り口になっていて、性格設定なども今風です。時にそれがあざとすぎる気もするのですが、といって当時の語り言葉や人々の性格、認識などなどを愚直に再現してみたところで単に読みにくくってしょうがないでしょうし、そんなものが読みたいなら黙って今昔物語などを紐解けば良いわけです。私としては、これはこれでありなのだろう、と大いに参考になりましたが、一言で言えば、TV時代劇的な小説という感じで、欲を言えば、そんな煌々とライトが照らされた中で撮影されたような感じじゃなくて、もう少し当時の夜の暗さがイメージできるような描写が欲しかったかな? とは思いました。
物の怪が色々出ますが、切った張ったと大立ち回りが演じられるわけでもなく、不可思議で怪奇な呪術や魔術がバンバン飛び交うわけでもありません。そういう内容はそれこそ「ライトノベル」で、ということなのでしょうか。個人的には、こういう「静かな」展開は嫌いではありません。
ところで、初め作者も確認せずに表紙買いしてそのまま読み始めたために、最後まで作者は女性だろうと思い込んでおりました。どこでそう感じたか今となっては明確に思い出せないのですが、最後の最後であとがきの末尾に書かれていた名前で、初めて男性作家だったことに気づいた次第です。読み終わって、衝撃を受けたり感動したり魂を揺さぶられたり、というような劇的な体験はありませんでしたが、充分読み返したくなる良作だと感じました。調べてみたら平安モノをまだ何冊か書いている作家のようですので、また機会を見て読んでみたいと思います。