昨日は鈴鹿市議会9月定例議会最終日、議案と請願についての採決がありました。議案は全議案賛成でしたが、請願のほうでいろいろとありました。それが請願第7号「選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論を求める意見書を提出する請願書」です。
自分の考えを端的に書くと「選択的夫婦別姓については、そうしたい方ができればよいと考える。通称使用が拡大されているのでその方向でどうかと考える」という視点があり、その立場から考えました。
ちなみに国では法務省のサイトから引用しますが「A 政府としては、女性活躍の推進等の観点から、旧姓の通称としての使用拡大に向けて取り組んできたところであり、令和元年からは、マイナンバーカードや運転免許等において旧姓併記が可能となっております。」となっています。
そのためこの請願については、提出された当初から判断は難しいところになるだろうなと考えていて、所管の地域福祉委員会委員ではありませんでしたが、かなり時間を割いて資料や関連サイトなどに目を通しました。わかりやすいところで次の二つを紹介します。
■法務省:選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html#Q10
■選択的夫婦別姓・全国陳情アクション
そこで、サイトに書かれていることを読みながら、関連することなどを検索して読んでいった結果、9月定例議会という短期間では判断しかねるということに至りました。理由はいろいろありますが、ひとつに、今回の請願までに鈴鹿市議会の一般質問や委員会などでも取り上げられてきておらず、議員間の議論が圧倒的に不足していることもあり、請願については審査を延長して議論を行ったほうが良いと考えました。
選択夫婦別姓の制度化を求める方々の請願ですので、いろいろと気になる点はありましたが、地域福祉委員会での議論を前に、もし自分がこの定例議会で賛同するのであればという視点から論点を抽出、会派内で私の考えを共有させて頂きました。
それを書きだすと・・・
① 第5次男女共同参画基本計画の第9分野(2)のイの②に、「子どもへの影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、さらなる検討を進める。」とあるのですが、それに対する考えは?
(参考)https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/pdf/2-09.pdf
② 3段落目、「また事実婚の増加は、少子化や人口減少との関連も指摘されており、社会的な問題とも深くつながっています。」について、根拠となる資料や出典はあるのか。
③ 4段落目、「さらに経団連等複数の経済団体も、旧姓の通称使用はビジネス上のリスクであり、また日本の国際競争力の障壁にもあるとして、」との一文について、参考の経済同友会の要望では「旧姓の通称使用は国際的には安全保障上のリスク要因になり得ることから、グローバル化に対応した政策とは言えません。」とあることから、推進するにあたって“通称制度”そのものをどう考えるのかの疑問。
(参考)https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2023/240308.html
④ 5段落目、「世論調査によれば現在では国民の7割が選択的夫婦別姓制度に賛成している」とあることについて、データの出典はどこからなのか。
(参考)法務省民事局「夫婦の氏に関する調査結果の整理」:https://www.moj.go.jp/content/001373638.pdf
⑤ また「私たちの団体は、~」とあることについて、請願者は個人名であり、どのような団体なのか。
でした。
④に関連するのですが、メディアによる世論調査は客観的であるように見えて、世論誘導的な側面が強い場合もあると考えています。実際に今回いくつかのメディア記事を読みましたが、それぞれのメディアによって違いがありました。
また(参考)法務省民事局「夫婦の氏に関する調査結果の整理」を見ると、次の画像のように出ていました。この情報を見ると、7割が賛成とすることはいかがなものかと考えますし、「旧姓の通称使用の法制度を設ける」とする人が42.2%を占めていることを考えても、議論からその人たちを抜いて進めることは乱暴なことではないかと考えます。
そして制度を変えることで、どのような影響が日本社会に考えられるか、戸籍などもそうですが行政のシステム改修などにどれだけかかるのか、鈴鹿市政ではどうなのかなども気になるところでした。
→ ②に続く
※追 記※
それと補足ですが、能登地震と能登豪雨のことを考えると、二政党の総裁と代表選挙のニュースが報道され始めたころ、メディアが争点として、選択的夫婦別姓を取りあげていたことには、少し違和感を感じていました。いまの世の中を考えれば、能登のことはもちろんですが想定される自然災害への備えやもしもの際の考え、日本の近隣国の動向に対してどのような考えを持って対応するのか、人口減少下でどのような考えを持って臨むのかなど、ある意味喫緊で大きな課題があり、それは地方公共団体などでも同じですし、市民・国民も同じではないでしょうか。能登の状況は、これまでの考えでは対応しきれない、考え方を大きく転換する必要があるように思います。ですが、メディアが真剣に考えて報道したりしているようには感じられません。