かなり間が開きましたが、今日は再び長門湯本温泉の話題に戻ります。不要不急の外出を控えているので、なかなか新しい話題がないんです (^-^)ゞ
前回は、瑠璃光寺(山口市)と別府弁天池(美祢市)に立ち寄った後、長門湯本温泉に到着したところまで書きました。今日は、宿をとった「界 長門」について記憶をたどってみます。星野リゾートが手掛ける「界」は、「王道なのに、あたらしい。」をテーマにした温泉旅館ブランドで、界 長門は、全国で16番目の「界」として3月12日にオープンしました。
音信川を散策し、トラベルライブラリーで一息ついてからチェックイン。ロビーの中央に設けられた黒い枠は、絵を飾る額縁を表現していると伺いました。音信川とそのほとりの桜並木や柳並木を一枚の絵に見立てるという趣向なんですね。桜の季節には音信川も華やぎを増して、ロビーは桜色に染まるそうです。そんな時期に行けたらいいでしょうね〜

飾り棚には、作風が異なる3人の萩焼作家のどっしりとした作品が置かれていました。ロビーの両側の壁に掛けられていた桜の木をモチーフにした絵も、山口県在住の画家の作品とのこと。界 長門は、地域の文化や伝統を取り入れ、それを活かすことに徹底してこだわっているようです。

寝台を一段高く設えた客室には、山口県の伝統工芸である萩焼・萩ガラス・大内塗・徳地和紙があしらわれています。これらに窓から見える四季折々の景色を合わせて、5つの魅力が詰まった部屋と言う意味を込めて「長門五彩の間」と表現するなど、こんなところにも地域性を大事にする星野リゾートのこだわりが感じられました。
オープンして2日目ですから何もかも真新しいものばかり。ベッドもソファもサラサラふかふかで、快適な2日間を過ごせました。

可愛らしい大内塗の人形が付けられたルームキー。

床の間には、重厚感のある萩焼深川窯の作品が飾られていました。

ロビー横のスペースで行われていたのは、地域の伝統文化などを体験するアクティビティで「ご当地楽」と呼ばれるもの。山口県の伝統工芸品「赤間硯」で実際に墨を磨り、心に浮かんだもの(文字や絵など)を扇形の和紙に書(描)きこもうという「おとなの墨あそび」を体験しました。

やわらかくてザラツキのある赤間石を原材料とする赤間硯は、細かく磨ることができるのが特長で、発色や伸びのよい墨汁ができると定評があります。実際に磨ってみたところ、硯の感触がやわらかく、わずかな回数で濃くて深みのある墨汁ができてびっくり。ほんのり薫る墨の匂いも良かったです。

講師の瀧口さんが、硯や墨、書道などについて、わかりやすく丁寧に教えてくださいました。(ブログ掲載の承諾を得ています)

展示されていた赤間硯作家の日枝玉峯氏(左)、日枝陽一氏(右)の作品。いずれの硯も百万円は下らない銘品だそうです。
私たちが墨磨りを体験させてもらったのも日枝父子の硯でした。(二つ上の写真。私が使ったのは父親の玉峯氏作。玉峯氏の作風は角ばった硯、息子さんの陽一氏は丸みがあるのが特徴だそうです)

さて、何と言っても一番の楽しみは温泉ですよね~♪
約600 年前(室町時代1427年)、曹洞宗の名刹 大寧寺の定庵禅師が住吉大明神のお告げによって発見したと伝えられることから「神授の湯」と呼ばれる長門湯本温泉。古くから美肌の湯として知られる名湯で、江戸時代には毛利藩主も足繁く湯治に訪れていたそうです。
温泉ギャラリーと名付けられた温泉棟の廊下には、日本の湯治文化や温泉入浴方法などを記したパネルが掛けられていました。

外国の方にも、温泉の効果や入浴の仕方が理解できるよう、さりげなく配慮されています。

内風呂には、源泉かけ流しのぬる湯(手前)と、温度を高めに調整したあつ湯(奥)があります。泉質はアルカリ性単純泉で、水素イオン濃度はpH9.9と高め。かなりの強アルカリだけあって、お湯はとろとろつるん。気持ちの良いお湯でした。まずあつ湯で温まってから、泉温31℃の源泉がそのま注がれるぬる湯にゆったりと浸かるのがお勧めです。

爽やかな空気感を満喫できる露天風呂。
とろとろ泉質のアルカリ温泉と言えば、私たちが大好きな同じ長門市の油谷湾温泉「楊貴館」はpH9.6ですから、界 長門はそれよりも高いpH値です。ちなみに、これまでに私が経験した温泉の中で一番pHが高かったのは、岩手県の新山根温泉「べっぴんの湯」で、なんとpH10.8でした。(とは言え、必ずしもpH値だけでお湯のとろとろ感を推し量ることはできないと思います)

湯上がり処に用意された夏みかんジュースと小野茶(その横にシャーベットも置いてありました)。音信川のせせらぎを眺めながら、まったりできましたよ。風呂あがりの夏みかんジュース、美味しいです〜♪

また、あけぼの門を通って温泉棟から直接外に出ることができますので、湯上りに温泉街をそぞろ歩きしたり、音信川沿いの足湯で寛いだりするのも気持ちいいかもしれませんね。
夕食・朝食は半個室の食事処でいただきました。
先付けは、烏賊の二色和え。酒は、山口県周南市の酒蔵はつもみぢの「原田 特別純米 西都の雫」を頼みました。萩ガラスの酒器が涼しげです。すっきりと飲み口の良い酒でした。西都の雫は山口県産の酒造米だそうです。

山口県特産の剣先イカに新鮮な生ウニを添えています。北九州も芦屋で揚がるヤリイカが美味しいですが、山口の剣先イカもなかなかのもの。イカ墨の微かな苦味が、イカとウニの旨味を尚いっそう引き立てていました。

椀物は薄味で上品な蛤真薯。

ハマグリをそのまま練りこんだ真薯は、ねっとりと濃厚な風味でした。

酢の物やお造りなどを盛り合わせた宝楽盛り。
山口県で唯一の桶職人、長門市の坂村晃氏が製作した桶が使われていました。

三方を海に囲まれた山口県は魚介類の宝庫。剣先イカのみならず様々な海産物が味わえます。

右から、胡麻豆腐の香煎揚げ、鯛昆布締め棒寿司、海老の黄身寿司、菜種のお浸し。

サクッと揚げられた甘鯛の桜花揚げと野菜の天婦羅。器もきれいです。
山口県の日本海側は甘鯛の水揚げ量が日本一。身が締まって甘みがあって美味しいですよね。

追加した岩国の八百新酒造「雁木 ノ壱 純米」も、すっきり端麗で好みの味でした。

檸檬のシャーベットで箸休め。

この日の旬菜土鍋ごはんは鰆の西京焼き。赤だしのお椀と桜風味の香の物が添えられていました。

ふっくら炊き上がった土鍋ごはん。鰆の西京焼き、とっても美味しかったです。

最後は夏みかんあんみつで締めくくり。

長門湯本温泉は、長門市と星野リゾートが提携して温泉街のリノベーションに取り組んでいます。湯本温泉を訪れたのは20年ぶりでしたが、音信川沿いを中心に整備が進み、明るく華やぎのある温泉街に変わりつつあるように感じました。
古くからの共同浴場である「恩湯」もその一環で建て替えられ、3月18日にリニューアルオープン。新しい恩湯は、岩盤から滔々と湧き出す様子をお風呂から見ることができるそうです。私たちが訪ねた日はまだ開業していなくて、体験できなかったのが残念でした。
前回は、瑠璃光寺(山口市)と別府弁天池(美祢市)に立ち寄った後、長門湯本温泉に到着したところまで書きました。今日は、宿をとった「界 長門」について記憶をたどってみます。星野リゾートが手掛ける「界」は、「王道なのに、あたらしい。」をテーマにした温泉旅館ブランドで、界 長門は、全国で16番目の「界」として3月12日にオープンしました。
音信川を散策し、トラベルライブラリーで一息ついてからチェックイン。ロビーの中央に設けられた黒い枠は、絵を飾る額縁を表現していると伺いました。音信川とそのほとりの桜並木や柳並木を一枚の絵に見立てるという趣向なんですね。桜の季節には音信川も華やぎを増して、ロビーは桜色に染まるそうです。そんな時期に行けたらいいでしょうね〜

飾り棚には、作風が異なる3人の萩焼作家のどっしりとした作品が置かれていました。ロビーの両側の壁に掛けられていた桜の木をモチーフにした絵も、山口県在住の画家の作品とのこと。界 長門は、地域の文化や伝統を取り入れ、それを活かすことに徹底してこだわっているようです。

寝台を一段高く設えた客室には、山口県の伝統工芸である萩焼・萩ガラス・大内塗・徳地和紙があしらわれています。これらに窓から見える四季折々の景色を合わせて、5つの魅力が詰まった部屋と言う意味を込めて「長門五彩の間」と表現するなど、こんなところにも地域性を大事にする星野リゾートのこだわりが感じられました。
オープンして2日目ですから何もかも真新しいものばかり。ベッドもソファもサラサラふかふかで、快適な2日間を過ごせました。

可愛らしい大内塗の人形が付けられたルームキー。

床の間には、重厚感のある萩焼深川窯の作品が飾られていました。

ロビー横のスペースで行われていたのは、地域の伝統文化などを体験するアクティビティで「ご当地楽」と呼ばれるもの。山口県の伝統工芸品「赤間硯」で実際に墨を磨り、心に浮かんだもの(文字や絵など)を扇形の和紙に書(描)きこもうという「おとなの墨あそび」を体験しました。

やわらかくてザラツキのある赤間石を原材料とする赤間硯は、細かく磨ることができるのが特長で、発色や伸びのよい墨汁ができると定評があります。実際に磨ってみたところ、硯の感触がやわらかく、わずかな回数で濃くて深みのある墨汁ができてびっくり。ほんのり薫る墨の匂いも良かったです。

講師の瀧口さんが、硯や墨、書道などについて、わかりやすく丁寧に教えてくださいました。(ブログ掲載の承諾を得ています)

展示されていた赤間硯作家の日枝玉峯氏(左)、日枝陽一氏(右)の作品。いずれの硯も百万円は下らない銘品だそうです。
私たちが墨磨りを体験させてもらったのも日枝父子の硯でした。(二つ上の写真。私が使ったのは父親の玉峯氏作。玉峯氏の作風は角ばった硯、息子さんの陽一氏は丸みがあるのが特徴だそうです)

さて、何と言っても一番の楽しみは温泉ですよね~♪
約600 年前(室町時代1427年)、曹洞宗の名刹 大寧寺の定庵禅師が住吉大明神のお告げによって発見したと伝えられることから「神授の湯」と呼ばれる長門湯本温泉。古くから美肌の湯として知られる名湯で、江戸時代には毛利藩主も足繁く湯治に訪れていたそうです。
温泉ギャラリーと名付けられた温泉棟の廊下には、日本の湯治文化や温泉入浴方法などを記したパネルが掛けられていました。

外国の方にも、温泉の効果や入浴の仕方が理解できるよう、さりげなく配慮されています。

内風呂には、源泉かけ流しのぬる湯(手前)と、温度を高めに調整したあつ湯(奥)があります。泉質はアルカリ性単純泉で、水素イオン濃度はpH9.9と高め。かなりの強アルカリだけあって、お湯はとろとろつるん。気持ちの良いお湯でした。まずあつ湯で温まってから、泉温31℃の源泉がそのま注がれるぬる湯にゆったりと浸かるのがお勧めです。

爽やかな空気感を満喫できる露天風呂。
とろとろ泉質のアルカリ温泉と言えば、私たちが大好きな同じ長門市の油谷湾温泉「楊貴館」はpH9.6ですから、界 長門はそれよりも高いpH値です。ちなみに、これまでに私が経験した温泉の中で一番pHが高かったのは、岩手県の新山根温泉「べっぴんの湯」で、なんとpH10.8でした。(とは言え、必ずしもpH値だけでお湯のとろとろ感を推し量ることはできないと思います)

湯上がり処に用意された夏みかんジュースと小野茶(その横にシャーベットも置いてありました)。音信川のせせらぎを眺めながら、まったりできましたよ。風呂あがりの夏みかんジュース、美味しいです〜♪

また、あけぼの門を通って温泉棟から直接外に出ることができますので、湯上りに温泉街をそぞろ歩きしたり、音信川沿いの足湯で寛いだりするのも気持ちいいかもしれませんね。
夕食・朝食は半個室の食事処でいただきました。
先付けは、烏賊の二色和え。酒は、山口県周南市の酒蔵はつもみぢの「原田 特別純米 西都の雫」を頼みました。萩ガラスの酒器が涼しげです。すっきりと飲み口の良い酒でした。西都の雫は山口県産の酒造米だそうです。

山口県特産の剣先イカに新鮮な生ウニを添えています。北九州も芦屋で揚がるヤリイカが美味しいですが、山口の剣先イカもなかなかのもの。イカ墨の微かな苦味が、イカとウニの旨味を尚いっそう引き立てていました。

椀物は薄味で上品な蛤真薯。

ハマグリをそのまま練りこんだ真薯は、ねっとりと濃厚な風味でした。

酢の物やお造りなどを盛り合わせた宝楽盛り。
山口県で唯一の桶職人、長門市の坂村晃氏が製作した桶が使われていました。

三方を海に囲まれた山口県は魚介類の宝庫。剣先イカのみならず様々な海産物が味わえます。

右から、胡麻豆腐の香煎揚げ、鯛昆布締め棒寿司、海老の黄身寿司、菜種のお浸し。

サクッと揚げられた甘鯛の桜花揚げと野菜の天婦羅。器もきれいです。
山口県の日本海側は甘鯛の水揚げ量が日本一。身が締まって甘みがあって美味しいですよね。

追加した岩国の八百新酒造「雁木 ノ壱 純米」も、すっきり端麗で好みの味でした。

檸檬のシャーベットで箸休め。

この日の旬菜土鍋ごはんは鰆の西京焼き。赤だしのお椀と桜風味の香の物が添えられていました。

ふっくら炊き上がった土鍋ごはん。鰆の西京焼き、とっても美味しかったです。

最後は夏みかんあんみつで締めくくり。

長門湯本温泉は、長門市と星野リゾートが提携して温泉街のリノベーションに取り組んでいます。湯本温泉を訪れたのは20年ぶりでしたが、音信川沿いを中心に整備が進み、明るく華やぎのある温泉街に変わりつつあるように感じました。
古くからの共同浴場である「恩湯」もその一環で建て替えられ、3月18日にリニューアルオープン。新しい恩湯は、岩盤から滔々と湧き出す様子をお風呂から見ることができるそうです。私たちが訪ねた日はまだ開業していなくて、体験できなかったのが残念でした。
