Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ラ・フォル・ジュルネ

2009年05月05日 | 音楽
 東京のゴールデンウィークのイヴェントとしてすっかり定着した感のあるラ・フォル・ジュルネだが、私は今まで他の予定を優先してきたので、今年がはじめての参加。5月3日に2公演と4日に3公演をきいたが、4日のほうの感想を。

○ラ・レヴーズ
  ラインケン:トリオ・ソナタ集「音楽の園」よりパルティータ第1番&第4番、他
○ラ・ヴェネクシアーナ
  ブクステフーデ:カンタータ「われらがイエスの御体」
○小山実稚恵
  J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲

 ラインケンは、バッハとの関連でその名はききおぼえがあったが、うろ覚えだった。事前に調べてみると、ハンブルクの教会オルガニストで、リューベックの教会オルガニストだったブクステフーデとも親交があったとのこと。
 「音楽の園」は2本のヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音のための室内楽曲集だが、バッハがその一部をチェンバロ・ソナタに編曲していて、若き日のバッハの面影を彷彿とさせる。オリジナルの編成をきくのは今回がはじめてだったが、同じ音型を異なる楽器で繰り返す部分があり、その面白さがよく分かった。
 第1番も第4番も、教会ソナタ(緩―急―緩―急の4部分)に舞曲(アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーク)が続く一風変わった構成だが、これは当時のどういう文脈によるのだろうか・・・どなたかご存知でしたら、教えてください。
 演奏はフランスのラ・レヴーズという団体で、前日にきいた他の団体に比べて、よほどうまかった。

 ブクステフーデの「われらがイエスの御体」は、十字架上に磔になったイエスの足、膝、手、脇腹、胸、心、顔を順にしのぶ特異な曲で、私は今までいくつかの演奏をCDできいてきたが、生できくのははじめて。
 この曲は、バッハとの関連で語る必要などまったくない、真の傑作だと思った。その高貴な音楽性は、揺らぎようもなく自立している。
 演奏はイタリアの団体のラ・ヴェネクシアーナで、これは声楽、器楽ともきわめて高度なプロ集団だ。私は完全に圧倒された。

 ゴルトベルク変奏曲は、小山実稚恵さんなので、ピアノで演奏された。ピリオド楽器をきいた後で、しかも曲が作曲当時の常識からかけ離れた宇宙的規模をもつので、私は2日間の演奏会で身についた時代性をそぎ落とされ、自分がどこにいるのか見失ったように感じた。
 小山さんは暗譜で演奏。プロ根性旺盛だ。
(2009.05.04.東京国際フォーラム ホールB5・ホールC・ホールB7)
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