二期会研究会の「駅伝コンサート」。15:30~20:00まで。全席自由・出入り自由というのがいい。
二期会には12の研究会があるそうだ。そのうち11研究会が参加。それぞれの持ち時間は20分前後。その枠内で趣向を凝らしたミニ・コンサートが繰り広げられる。オペレッタ研究会から始まり、イタリアオペラ研究会、ロシア東欧オペラ研究会と続き、最後はイタリア歌曲研究会。途中20分の休憩が2回ある。休憩時間にはロビーに各研究会のブースが出て、CDや書籍、ティーシャツなどを販売している。舞台衣装を着た歌手も参加して、にぎやかなものだ。
各コンサートの趣向が楽しい。オペレッタ研究会はオペレッタの名場面集、イタリアオペラ研究会は「ラ・ボエーム」の第3幕後半(ミミが雪の降る明け方、マルチェッロを訪ねる場面から最後まで)。一方、ドイツ歌曲研究会はブラームスの歌曲6曲、日本歌曲研究会は武満徹の歌(=ソング)を6曲。また、英語の歌研究会は「メサイア」抜粋だが、最後のハレルヤ・コーラスでは意表を突いた演出で笑わせた。
このように、なにが飛び出すかわからないコンサートでは、自分の好みにかかわらず、なんでも聴く――耳に入ってくる――という利点がある。普段はとりたてて聴くこともない曲を聴く利点がある。その意味では、ロシア歌曲研究会のラフマニノフの二重唱2曲が面白かった。「夢」作品8‐5と「ふたつの別れ」作品26‐4。ラフマニノフの歌曲はこんなにいいのかと、目を開かれた。もう一つ、フランス歌曲研究会のプーランクの女声アンサンブル「妹が欲しいの」も面白かった。いかにもプーランクらしいちょっとエッチな(?)曲。
大勢の出演者に交じって、オペラの第一線で活躍中の歌手――井ノ上了吏と小原啓楼――は、さすがだった。歌手の名前は気にしないで聴いていたのだが、この二人のときには――井ノ上了吏はスペイン音楽研究会、小原啓楼はイタリア歌曲研究会――、おお!と思った。慌ててプログラムを見たら、この二人だった。
この二人は二期会の――というよりも日本の声楽界の――広い裾野から出てきた逸材なのだ、あるいは、この二人が出てくるためには、途方もなく広い裾野があったのだ、ということがよくわかった。実感としてわかった。
老若男女合わせた歌手たちのお祭り。今回で第8回目。こんなに楽しいのなら、また来年も。
(2013.7.28.東京文化会館小ホール)
二期会には12の研究会があるそうだ。そのうち11研究会が参加。それぞれの持ち時間は20分前後。その枠内で趣向を凝らしたミニ・コンサートが繰り広げられる。オペレッタ研究会から始まり、イタリアオペラ研究会、ロシア東欧オペラ研究会と続き、最後はイタリア歌曲研究会。途中20分の休憩が2回ある。休憩時間にはロビーに各研究会のブースが出て、CDや書籍、ティーシャツなどを販売している。舞台衣装を着た歌手も参加して、にぎやかなものだ。
各コンサートの趣向が楽しい。オペレッタ研究会はオペレッタの名場面集、イタリアオペラ研究会は「ラ・ボエーム」の第3幕後半(ミミが雪の降る明け方、マルチェッロを訪ねる場面から最後まで)。一方、ドイツ歌曲研究会はブラームスの歌曲6曲、日本歌曲研究会は武満徹の歌(=ソング)を6曲。また、英語の歌研究会は「メサイア」抜粋だが、最後のハレルヤ・コーラスでは意表を突いた演出で笑わせた。
このように、なにが飛び出すかわからないコンサートでは、自分の好みにかかわらず、なんでも聴く――耳に入ってくる――という利点がある。普段はとりたてて聴くこともない曲を聴く利点がある。その意味では、ロシア歌曲研究会のラフマニノフの二重唱2曲が面白かった。「夢」作品8‐5と「ふたつの別れ」作品26‐4。ラフマニノフの歌曲はこんなにいいのかと、目を開かれた。もう一つ、フランス歌曲研究会のプーランクの女声アンサンブル「妹が欲しいの」も面白かった。いかにもプーランクらしいちょっとエッチな(?)曲。
大勢の出演者に交じって、オペラの第一線で活躍中の歌手――井ノ上了吏と小原啓楼――は、さすがだった。歌手の名前は気にしないで聴いていたのだが、この二人のときには――井ノ上了吏はスペイン音楽研究会、小原啓楼はイタリア歌曲研究会――、おお!と思った。慌ててプログラムを見たら、この二人だった。
この二人は二期会の――というよりも日本の声楽界の――広い裾野から出てきた逸材なのだ、あるいは、この二人が出てくるためには、途方もなく広い裾野があったのだ、ということがよくわかった。実感としてわかった。
老若男女合わせた歌手たちのお祭り。今回で第8回目。こんなに楽しいのなら、また来年も。
(2013.7.28.東京文化会館小ホール)