カイユボット展。会期末(12月29日)ギリギリになってしまったが、滑り込みセーフで間に合った。これを見ておかないと後悔するような気がしていた。
ギュスターヴ・カイユボット(1848‐1894)。印象派の画家の一人。その名前は聞いたことがあるが、どんな作品かは知らなかった。いや、ブリヂストン美術館に1点収蔵されているので、それは見たことがあるが、はっきりした認識はもっていなかった。
カイユボットの作品を世界中から集めた本展は、この画家の作風や生涯をきちんと認識する絶好の機会だ。こういう機会を逃さずに、こまめに見ておくことが、わたしのように美術を体系的に見てこなかった人間には必要だ。
最初の展示室には自画像が2点並んでいた。一方は画家の壮年期なのだろうか。精悍な表情。多少理想化されているかもしれない。もう一方は後年の作品だろうか。老いがしのび寄り(といっても45歳で早世したのだが)、疲れ、落胆したように見える。ところが、よく見ると、これら2点は同年(1889年)の作品だった。カイユボットにかぎらず、人間だれしも抱える二重性の表れだろうか。
あとは当時の「印象派展」に出品された作品のオンパレード。「印象派展」は1874年に第1回展が開かれ、カイユボットは1876年の第2回展から参加した。以降、第5回展(1880年)まで毎回参加。だが、ドガとの確執があり、第6回展(1881年)は不参加。第7回展(1882年)には参加したが、最後になる第8回展(1886年)には参加しなかった。
それらの作品を見ていると、当時の息吹きが伝わってくる。なかでもカイユボットらしさ(今の眼で見るとそう感じられる)が表れているのは、第3回展に出品された「ヨーロッパ橋」(↑チラシの絵)と「建物のペンキ塗り」だ。「ヨーロッパ橋」は明るい陽光、屈託のなさ、(犬に見られる)人懐っこさといった諸点で、当時のパリの生気が感じられる。それと対作品である「建物のペンキ塗り」は、人通りの少ない通りでの何気ない日常が好ましい。
カイユボットは1881年(ドガと確執があった頃だ)にパリ郊外のプティ・ジュヌヴィリエに広大な土地を買い求め、1888年には本格的に転居した。同地では地方議員を務めるなど、名士だったようだ。当時描かれた風景画は、カイユボットの恬淡とした人柄を物語っているように感じられた。
(2013.12.25.ブリヂストン美術館)
↓主な作品は同展のHPでご覧になれます。
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/caillebotte/
ギュスターヴ・カイユボット(1848‐1894)。印象派の画家の一人。その名前は聞いたことがあるが、どんな作品かは知らなかった。いや、ブリヂストン美術館に1点収蔵されているので、それは見たことがあるが、はっきりした認識はもっていなかった。
カイユボットの作品を世界中から集めた本展は、この画家の作風や生涯をきちんと認識する絶好の機会だ。こういう機会を逃さずに、こまめに見ておくことが、わたしのように美術を体系的に見てこなかった人間には必要だ。
最初の展示室には自画像が2点並んでいた。一方は画家の壮年期なのだろうか。精悍な表情。多少理想化されているかもしれない。もう一方は後年の作品だろうか。老いがしのび寄り(といっても45歳で早世したのだが)、疲れ、落胆したように見える。ところが、よく見ると、これら2点は同年(1889年)の作品だった。カイユボットにかぎらず、人間だれしも抱える二重性の表れだろうか。
あとは当時の「印象派展」に出品された作品のオンパレード。「印象派展」は1874年に第1回展が開かれ、カイユボットは1876年の第2回展から参加した。以降、第5回展(1880年)まで毎回参加。だが、ドガとの確執があり、第6回展(1881年)は不参加。第7回展(1882年)には参加したが、最後になる第8回展(1886年)には参加しなかった。
それらの作品を見ていると、当時の息吹きが伝わってくる。なかでもカイユボットらしさ(今の眼で見るとそう感じられる)が表れているのは、第3回展に出品された「ヨーロッパ橋」(↑チラシの絵)と「建物のペンキ塗り」だ。「ヨーロッパ橋」は明るい陽光、屈託のなさ、(犬に見られる)人懐っこさといった諸点で、当時のパリの生気が感じられる。それと対作品である「建物のペンキ塗り」は、人通りの少ない通りでの何気ない日常が好ましい。
カイユボットは1881年(ドガと確執があった頃だ)にパリ郊外のプティ・ジュヌヴィリエに広大な土地を買い求め、1888年には本格的に転居した。同地では地方議員を務めるなど、名士だったようだ。当時描かれた風景画は、カイユボットの恬淡とした人柄を物語っているように感じられた。
(2013.12.25.ブリヂストン美術館)
↓主な作品は同展のHPでご覧になれます。
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/caillebotte/