平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ホカベン 第3話

2008年05月01日 | 職業ドラマ
★めでたしめでたしで終わらないのが現実
 ドラマでは「めでたしめでたし」「ハッピーエンド」で終わることが多い。
 でも実際の現実はそうでない。
 正しいことが抹殺され泣き寝入り。
 人間不信になることばかりだ。

 「ホカベン」第3話
 駅でのもみ合いで夫を殺されてしまった妻・宇佐美千枝子(鈴木砂羽)は示談を受け入れずに犯人の少年の罪を問う。
 だが刑事事件としての決定は保護処分。
 少年法に守られ、前科もつかず、刑罰も受けないという現実。
 夫の遺してくれた家を守るために千枝子は示談に応じようとするが、少年が少年院に送られない判断が出た以上、示談に応じる気はないと突っぱねられる。
 千枝子にしてみれば、ものすごい不条理だ。

 しかしこれが現実。
 法律の網の目をくぐり正しいことが行われない。
 ここは法には法で戦うしかない。
 灯(上戸彩)は少年の過去に暴力事件があったことをもとに4000万のお金を少年側から取ることに成功するが、今度は少年側がそのお金を払うために家を手放すことに。

 複雑な現実だ。
・少年が過失とはいえ人を殺したこと
・それにより千枝子の一家の幸せがなくなってしまったこと
・そのことに少年側が誠意を示さなかったこと
 が招いてしまったこととはいえ、少年側が家を失ったことには痛みが残る。
 灯は札束を投げつけられるが、彼女にはつらい解決だったろう。

 「めでたしめでたし」が100点の解決だとすれば今回の解決は70点。

 学校の試験とは違い、現実には100点満点の解決などない。
 70点取れれば上出来。
 そして札束を投げつけられて、千枝子の代わりに痛みを背負うのが弁護士なのだ。

 テレビドラマの刑事物・弁護士物では100点満点の「めでたしめでたし物語」を見せられることが多いが、70点の解決を見せてくれるこの作品の方が現実に即していて見応えがある。
 「七人の女弁護士」の様にラストで和気あいあいとお茶を飲んではいけないと思う。
 「めでたしめでたし物語」を描くのなら「富豪刑事」や「パズル」ぐらい突き抜けてほしい。

 あと見応えということで言えば、複数の話数で描いてもよかったかもしれない。
 ジャンルは違うが「十四歳の母」が心揺さぶったのはひとつのテーマとモチーフを深く掘り下げたからだ。


コメント
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