平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ホカベン 第7話

2008年05月29日 | 職業ドラマ
 市会議員の息子の強姦事件。
 市会議員と利害を持つエムザ法律事務所は裁判で負けられない。
 弁護士は依頼人の利益のために闘うものであることも灯(上戸彩)は理解し始めた。
 息子を弁護するにあたり灯は次のことを確認する。
 ・反省をしているか?
 ・事件は計画性のあるものでないこと
 ・二度と同じことをしないこと
 しかし息子の犯行は計画性のあるものだった。
 そのことを言わなかった息子は反省していない。
 再犯の怖れがある。

★弁護士か?人間か?
 この現実と灯はどう闘うか?
 人間として正しいのは、息子に刑務所に入り罪の責任を負ってもらうことである。
 弁護士として正しいのは執行猶予、あるいは示談に持ち込むこと。

 灯の中には『人間』と『弁護士』の葛藤がある。
 加害者を信じるか信じないかと葛藤がある。
 ドラマは葛藤だと言われるが、この葛藤をどう解決していくかは作者の腕の見せ所。
 この点で今回の話は上手い。
 葛藤の作り方は解決の仕方が鮮やか。また見事な法廷物になっている。

 まず灯は依頼人の利益を守る『弁護士』の顔を見せる。
 被害者の補導歴や彼氏とケンカしてムシャクシャしていたことなどを並べ立て、被害者の証言に信憑性がないことを証明する。
 結果、灯は怒る被害者に突き倒され、裁判官の心証をよくすることにも成功。
 灯は『人間』でなく『弁護士』になってしまったのかと視聴者に思わせておいて……。
 加害者の友人を証人に引っ張り出すことによって、犯行の計画性を明らかにし感情的になった加害者の本音を引き出した。
 これで加害者は罰せられることに。

★今回の解決方法に点数をつけると、次の様になる。

 人間として80点。
 弁護士として40点。

 人間として20点マイナスなのは被害者の過去を暴き傷つけてしまったこと。
 弁護士として40点なのは何より裁判に負けてしまったこと。
 しかし加害者を感情的にし本音を語らせたことで、エムザ法律事務所の面子は守られた。
 法廷であんな本音を語られたのでは弁護のしようがない。負けても仕方がない。
 灯が今までの様に正論を法廷で叫んでいたらエムザの法律事務所としての評判は地に落ちただろう。

 これが現実的な解決の仕方だ。
 現実には100点満点という解決方法はない。
 これが学校の勉強と違うところ。
 そう言えばバラエティ番組の「行列のできる法律事務所」でも「有罪になる可能性70%」「無罪となる可能性30%」みたいな解答がなされていたっけ。

★弁護士という商売
 弁護士としてしたたかさを身につけた灯。
 しかし弁護士という商売は因果な商売ですね。
 裁判に勝てば被害者に憎まれ、その逆もある。
 今回の様に被害者・加害者両方に憎まれる場合もある。(今回の場合、加害者に憎まれる筋合いはないのですが)
 弁護士報酬とは「憎まれ料」なのだ。
 とてもきれいごとではやっていけない仕事。

 それを認識しつつ「弱者救済」と言えれば、灯は本物になる。

※追記
 今回は杉崎(北村一輝)の過去も明らかに。
 強姦事件で無罪にした男が再犯を行い、ひとりの女性を自殺させてしまったのだ。
 杉崎は弁護士としては正しかったが、人間として傷を負ってしまった。
 今回の件は杉崎にとって「少しだけ胸のつかえが下りた」ものだった様だ。


コメント
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