goo blog サービス終了のお知らせ 

平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒 「悪意の不在」

2008年10月30日 | 推理・サスペンスドラマ
★事件の概要は次の様なもの。

 貧しい国への支援物資の横流し。
 その件で脅迫された商社マン小笠原雅之(西岡徳馬)は脅迫の相手・NGOの兼高公一(四方堂亘)を殺害。

 これだけでもひとつの推理ドラマとして成り立つ。
 使われた二人一役のトリックもなかなかだし。
 しかし、ここで終わらないのが「相棒」。
 さらに掘り下げる。

★脅迫した兼高は亀山(寺脇康文)の友人でボランティアに燃えている善意の人間。
 そんな兼高がなぜ脅迫を行ったのか?
 そこにはこんな現実がある。
 <相手先の政府は腐敗していて支援物資を送っても困っている人に届かないという現実>
 兼高は支援物資を当てにせず、支援物資で私腹を肥やしている人間を脅迫してお金を搾り取り、困っている人を助けようとしていたのだ。
 目的は救済。だが兼高は方法を変えた。
 正規の方法では目の前の困っている人を救うのには限界があることを知って脅迫という方法をとったのだ。
 善意の人間が悪を行わなければならない現実。
 
 このことを描いた時点で「相棒」は単なる推理ドラマではなく松本清張の様な社会派推理ドラマになった。

★「相棒」はこの現実をさらに突っ込む。
 政治家の瀬戸内(津川雅彦)が小笠原の横流しに加担していたのだ。
 その加担理由にはひとひねりがある。
 瀬戸内は私腹を肥やすためでなく、NGOの兼高と同じ理由から横流しに加担していた。
 <相手先の政府は腐敗していて支援物資を送っても困っている人に届かない現実>
 だったら横流しして得た金を直接送った方が困った人達のためになる。
 瀬戸内はこう考えたのだ。

 ここにも深い現実がありますね。
 国対国の対応では限界がある。
 細部が行き届かず形ばかりのものになりやすい。

★右京さんのスタンス
 さてこれらの事実を知った上での右京(水谷豊)の行ったことは瀬戸内の逮捕。
 そのスタンスは「現実を救えない法律であっても法律は法律」「法律の遵守」。
 右京は警察官なんですね。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする