平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

スクラップ・ティーチャー

2008年10月12日 | 学園・青春ドラマ
★「がんばる」「信じる」「逃げない」で現実を変えられるか?
 今回のキイワードは「がんばる」「信じる」「逃げない」。
 しかし結論から言うと「がんばる」「信じる」「逃げない」で現実は変えられない様だ。
 というのは杉虎之助(上地雄輔)は何ひとつ自分で解決していない。
 全国統一テストをやることだって校長の鶴の一声。全然がんばっていない。
 ロッカーの鍵だってスーパー中学生・高杉東一(山田涼介)吉田栄太郎(知念侑李)入江杉蔵(有岡大貴)が助けてくれたから。
 しかも方法は『ヘリ』『ブルドーザー』『スカイダイビング』という荒唐無稽な方法。
 そういうドラマだからと言ってしまえばそれまでだが、このことは「がんばる」「信じる」「逃げない」では現実を変えられないことを示している。
 現在という時代は「がんばらない」「信じない」「逃げる」ということの方が懸命な生き方の様だ。
 そんな逆説を感じさせてくれるこの作品。

 こんなことも感じる。
 虎之助は生徒ために何と闘い、何にがんばればいいかわからない。
 いろいろ迷った末、対象として見出したのが『全国統一テスト』。
 闘う対象が校長や教頭、教育委員会や生徒の親でないのはいいのだが、全国統一テストというのは……?
 僕はよく理解できなかった。
 この辺は現代の閉塞感を反映している。
 現実を変えたくてがんばりたいと思っているが何に対してがんばればいいいのかわからない。
 教師は生徒のために何と闘えばいいのか?
 ワーキングプアの若者は何と闘えばいいのか?
 闘う対象、がんばる対象が明確でないのが現代の特徴だ。
 70年代の学生運動の時代は資本家と権力者という明確な闘う対象があった。
 高度経済成長の時代は勉強、仕事をがんばればいい生活を確保できた。
 だが現在はあまりにも社会が複雑になり、何と闘いがんばればいいのかが見えにくくなっている。

★僕はあまり批判はしないのだが、今回はだらだらと。
・主人公は誰?
 第1話の描かれ方だと虎之助なのだろうが、この作品のモチーフから言って主人公は「ダメ教師をぶった斬りに来た」高杉東一(山田涼介)吉田栄太郎(知念侑李)入江杉蔵(有岡大貴)ではないか。
 またこの3人が「ぶった斬りに来た」と宣言するのはドラマが始まってから40分経ってから。
 ドラマの本質に入るのが遅すぎる。
・荒唐無稽なドラマなのか正統派ドラマなのか?
 これは主人公を誰にするかで決まる。
 虎之助が主人公なら「金八先生」の様な正統派ドラマ。
 3人が主人公なら荒唐無稽ドラマ。
・滝ゆうこ(加藤あい)の視点は必要か?
・全国統一試験を受けさせたいとがんばる虎之助。
 ここは虎之助のがんばり所だが前述のとおり校長はあっさりOK。
・ロッカーの鍵
 普通ロッカーの鍵を壊す方に全力を注ぐでしょう。
 ドラマと言ってしまえばそれまでだが、ここでシラケまくり。
 「ハケンの品格」でも同じ様なシーンがあったが、日テレさんはロッカーの鍵がお好き?
・渋滞する道路で前に進めない。
 いい加減こういう手垢のついた障害はやめてほしい。

 ということでこの作品は残念なドラマ。
 脚本の水橋文美江さんは「ホタルノヒカリ」で好きな作家さんだったのに。

※追記
 生徒たちの顔の区別もつかなかった。
 おじさんは見てはいけないというドラマですね。


コメント (4)
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