平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

臨場 第9話 人と繋がる

2010年06月10日 | 推理・サスペンスドラマ
 ホームレスのシオさん(斎藤洋介)が容疑者から外れた理由は次のふたつの点。
・上向きに引きちぎられていたボタン。
・被害者のツメに糸くずなど衣類の残留物がなかったこと。ボタンを引きちぎったのなら残っているはず。
 シオさんは「自分が殺った」と自供したが、実は誰かをかばってそう言ったのだ。
 では誰をかばったのか?
 シオさんは女性用の赤い水玉の傘を持っていた……という物語。

 推理物としては物足りない。
 容疑者が少ないし、赤い傘でシオさんがかばった犯人はすぐにわかってしまう。
 それよりもこの作品が今回描きたかったのは、人と人のふれあいなのだろう。

 シオさんと赤い傘の女性。
 女性はホームレスのシオさんに毎日「おはよう」と声をかけてくれた。
 嬉しいシオさん。彼女のあいさつが彼の生きている希望だった。
 彼女から雨の日に自分の赤い傘をもらったことも理由のひとつだが、シオさんが彼女の罪を被ったのは、彼女が自分に「おはよう」と挨拶してくれたから。

 人は誰かと繋がっていたいと思うもの。
 それは密接なものでなくていい。
 毎朝、挨拶を交わすとか、つらい時、黙ってそばにいてくれるとか。
 人と人が繋がるのに過剰な言葉はいらない。サプライズも豪華なプレゼントもいらない。
 そんなことを教えてくれた今回の話。

 シオさんのキャラクターはもう少し掘り下げてほしかった。。
 被害者に自分のボタンを握らせて偽装したり、被害者の財布の金で飲み食いして自分の犯行であることを裏づけたり、取り調べでわざと否認してみたり。
 なかなかの頭脳派。
 五代部長(益岡徹)の大学の同期だったらしいからかなりのインテリだったのだろう。
 そんな彼がどこで一般社会から外れてしまったのか?
 徒然草の意味は?
 掘り下げれば、もっと現代が見えてきたはず。

 最後に倉石(内野聖陽)。
 ホームレス姿がよく似合う。もともと汚い親父だしね。
 自家製のきゅうりやトマトをあげてすぐに友達になれる所も微笑ましい。
 倉石は好きなのだ。
 一本のきゅうりに喜べる人間や、地べたを這いつくばる生活をしていながら明るくしぶとく生きている人間が。

※追記
 そう言えば、五代の同窓会の出席ハガキは<欠席>でしたよね。<またの機会に必ず>というただし書き付きで。
 友達の大切さがわかっても素直に<出席>と書けない五代。
 こういう屈折した心、よくわかります。
 
 



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