平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

臨場 最終話 父と子

2010年06月24日 | 推理・サスペンスドラマ
 男の子は父親を越えようとするんですね。
 優しいお父さんが増えた現在、こういう感覚は少なくなったかもしれないが。
 今回、純一(山田純大)は造園業を営む父親の大庭久雄(竜雷太)を越えようとした。
 「お前を認めてやる」「お前に負けた」と父親に言わせたかった。
 だが父親は厳しく、簡単に「お前を認めてやる」と言うほど甘くはなく、息子は常に劣等感に苛まれていた。
 父親が厳しいのは、息子を愛する故だが、当事者の子供にはなかなかわからない。
 その結果、息子はグレ始め、偶然も手伝って罪を犯し、十六年間その罪に悩むこととなった。
 そして、息子の罪を知った父親はそのことを許せなくて……。

 父と子の愛憎をめぐるどうしようもない悲劇である。
 ひとつ歯車が狂わなければ、あるいは父親が「お前もなかなかがんばってるな」と声をかけていればなかったかもしれない悲劇。
 しかも十六年という歳月をかけてじわじわと進行してきて。

 そして倉石(内野聖陽)の部下の新人・永嶋(平山浩行)。
 彼もまた大きく厳格な父親の存在に悩んだ子供だった。
 ある意味、倉石は永嶋にとって、父親のような存在だったのかもしれませんね。
 厳しく愛情をもって叱咤してくれる存在。
 永嶋は父親を求めていて、倉石にその陰を見た。
 そう言えばラストの釣り堀でも倉石は完全に少女の父親代わりだった。
 また留美(松下由樹)は母親?
 公私混同した監察官にあるまじき行為をした永嶋を留美は母親の様に叱った。

 「臨場」は本格推理ものではない。
 事件の裏にある人の心や人生を描くことに力点が置かれる。
 <根こそぎ拾う>とは、人の心までも明らかにすること。
 すべてを明らかにすることによって、さらなる悲劇が現れてくるかも知れないが、その悲劇を正面から見つめることこそ明日に繋がると倉石は信じているのだ。


コメント
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