平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

20世紀少年 世界を憎むか愛するか

2010年09月03日 | 邦画
 ともだち。
 秋葉原連続殺傷事件の加藤智大容疑者を思い出した。
 誰にも存在を認知されない存在。
 認知されれば叩かれる。いじめられる。
 ネット上でのハンドルネームはともだちのお面。
 結果、世界を憎んで破壊しようとした。

 「ヒトラーの絵画」という映画も思い出した。
 画家として誰にも認められない若き日のヒトラーを描いたこの作品。
 ヒトラーは理想の王国を絵に描き、それをドイツ第三帝国という形で実現した。
 ともだちは<よげんの書>を実現した。

 ともだちが唯一、世界と繋がれた瞬間は<万博>だったんですね。
 <万博>のことを話してクラスメイト達から「すげえ!」と言われた。「万博に行く」と言ったらもっと「すげえ!」と言われた。
 世界がともだちと最も調和した瞬間。世界とともだちになった瞬間。
 だから、ともだちが創った造形物も万博の太陽の塔。

 そして<よげんの書>。
 <よげんの書>を作ったケンヂと仲間になりたかったともだち。
 自分も<よげんの書>作りに参加したかった。
 だから<よげんの書>に書かれたことを実現したかった。
 そうすれば、もう一度「すげえ!」と言ってもらえると思った。
 仲間に入れると思った。
 だから秘密基地のマークを自分のシンボルにした。

 ともだちは哀しい。
 大人になっても仮面をつけてしか生きていけなかった。
 相変わらず友達を求め、孤独だった。
 世界を憎み続けていた。
 人は大人になれば様々な形で世界と折り合いをつけて生きていくものだが、それが出来ない時は、自分を滅ぼすか世界を滅ぼすしかない。
 世界は空想やSFの中でしか壊すことが出来ないから大抵の人は諦め、やったとしても加藤容疑者ぐらいのことなのだが、ともだちはそれを本気でやろうとする。
 ある意味、すごく幼稚で子供。

 おそらく作者・浦沢直樹さんの発想のもとはオウム真理教だったのだろう。
 オウムの教祖と仲間達は本気でハルマゲドンを起こそうとしていたし、「宇宙戦艦ヤマト」に登場した<コスモクリーナー>なるものも開発していた。
 現実とアニメ・コミックなどの空想世界との境界がなくなった世界。
 それを浦沢さんは、巨大ロボットやUFO、現実の名前をもじった漫画家、敷島博士や矢吹丈といったもので表現する。

 本題に戻る。
 <世界を憎むか、愛するか>
 「エヴァンゲリオン」もそうだったが、新世紀に生きる者のテーマの様な気がする。


コメント
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