平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

龍馬伝 第39回「馬関の奇跡」

2010年09月27日 | 大河ドラマ・時代劇
 龍馬(福山雅治)の戦略は次のようなものだった。

・幕府に任せていたらこの国は他国に奪われる。だから倒幕。
・倒幕のためには日和見で様子を見ている他の藩に<幕府に力がなくなっていること>を証明しなければならない。
・龍馬たちが長州に加勢したのはその証明をするため。
 だから馬関での戦いは<必要悪>。
・この戦いに勝利した結果、他藩の空気が変わった。
 もはや幕府の時代ではなくなったことに気づいた。
・日和見していた他藩も反・徳川へ。
 この勢いに乗して<大政奉還>。
・来週以降の展開になるが、親幕府でもある土佐藩を使って幕府に<大政奉還>を迫る。

 龍馬の行動は行き当たりばったりではなく、ちゃんとシナリオがあったのだ。
 この大政奉還までのシナリオがしっかり描かれていれば、「龍馬は<倒幕>なのか<非戦主義者・平和主義者>なのか」という龍馬像の混乱はなかったんですけどね。
 いずれにしても龍馬は以前のようなお坊ちゃんの理想主義者ではなく、必要悪のいくさも必要(「百の議論より一回のいくさ」)、革命には血が流れることが時には必要という現実主義者になったようだ。

 ただし、木戸(谷原章介)も西郷(高橋克実)はもっとシビア。
 「一度力を手にした者は手放さない」とよりリアルな現実路線。
 それは大政奉還後に新政府が出来たあとも同じで、力がなくなったとはいえ徳川を滅さなければ新政府の基盤は安定しないという徹底した現実路線を歩む。(結果戊辰戦争へ)
 この現実路線を貫くために龍馬は邪魔。
 だから暗殺。
 龍馬の理想を回想して、勝と西郷が無血開城。

 シーズン4の展開はこんな感じでしょうか。

 それにしても権力闘争の中で個人は無力だ。
 激しい現実の権力闘争の中で龍馬は利用され、いらなくなれば捨てられた。
 龍馬の平和的解決という理想も踏みにじられる。
 そして木戸も西郷も権力を持てば変わっていく。

 今回はやはり高杉(伊勢谷友介)ですね。
 着流しに三味線で戦場を歩くかっこよさ。
 武士と町人という垣根を越えて奇兵隊を結成し、民に人望がある。
 人を揺さぶる演説力。「百万の大軍、恐るるに足らず。恐るるべきは、我ら弱き民。一人一人の心なり」
 熊本藩に投降を迫り無駄ないくさをしない姿勢。
 命が残り少ないという悲愴さ。
 「短いなら短いなりに僕は面白く生きたい。派手な大砲を打ち上げて消えて行く」という死生観。

 おかげで龍馬がかすんでしまった。
 「関わる人間の心をざわめかせる」のはもしかして高杉?


コメント (4)
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