平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ゲゲゲの女房 豊かな世界

2010年09月25日 | ホームドラマ
 最終週。
 お見合いからたった5日間で行われた茂(向井理)布美枝(松下奈緒)の結婚。
 考えてみると、その結婚が作りだしたものは実に豊かだ。
 それは次のようなもの。

 「鬼太郎」「悪魔くん」を始めとする茂のマンガの主人公たち。
 藍子(青谷優衣)、喜子(荒井萌)という子供たち。
 菅井(柄本佑)、倉田(窪田正孝)、小峰(斎藤工)らアシスタントたち。
 マンガの同志・戌井(梶原善)、深沢(村上弘明)。
 豊川(眞島秀和)ら出版社の人達。
 浦木(杉浦太陽)。はるこ(南明奈)。
 質屋さんや喫茶店のマスター、町の三人組の奥さんたち、美智子(松坂慶子)に太一君。
 そして源兵衛(大杉漣)、修平(風間杜夫)ら親たち親戚たち。

 彼らが茂夫婦を中心にしてあたたかい絆で結ばれている。

 だから20周年パーティのシーンは圧巻だ。
 茂たち夫婦の総決算とも言える。
 知った顔ばかりで、この作品をずっと見てきた視聴者もこのパーティに参加しているような気分になれる。
 喜びを共有していっしょに祝っているように感じる。
 布美枝はパーティの後、茂から娘たちからプレゼントされた花束を渡されて「最良の日だ」とつぶやきましたが、われわれががんばって生きるのはこうした<最良の日>を迎えるためなのでしょう。
 どんなに毎日がつらくてもいずれは<最良の日>が来ると信じたい。

 ラストに源兵衛の死を持ってきたのも奥が深い。
 普通なら茂から花束を渡された金曜日のお話で終わらせてもよかったのですが。
 この物語のすべての始まりは源兵衛だったんですね。
 源兵衛が結婚を決めたから、この豊かな収穫を得られた。
 源兵衛のもたらした収穫は布美枝夫婦だけではない。
 葬式に集まったあんなにたくさんの家族たち、親戚たち、未来を担う小さな孫たち。
 源兵衛というひとりの人間がもたらした人の連なり。
 こんな豊かな収穫を得られたのは源兵衛の強い愛情があったから。
 源兵衛は「枝が栄えて葉が茂る」と布美枝と茂の幸せを願い、脳梗塞で体が不自由になりながらも布美枝たちの幸せを祈った。
 ひとりの人間の愛情がここまで大きな実りをもたらす崇高さ。
 人の営みに関する哲学のようなものも感じる。
 また、これは現代に対するアンチテーゼでもある。
 先日あった子育てを放棄して餓死させてしまった悲惨な事件。
 きっと餓死させてしまったお母さんには源兵衛のような大きな愛情はなかったのだろう。
 だがそれだと何も実らない。 

 この作品が提示する豊かなものをどうとらえるか?
 これは来週にでも考察していきたい。

 最後に〝豊かな世界〟をありがとう!

※追記
 〝豊かな世界〟ということで言うと、茂たちは現実世界とは別に<妖怪の世界>も持っているんですね。
 実に豊かだ。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする