平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

龍馬伝 第36回「寺田屋騒動」

2010年09月06日 | 大河ドラマ・時代劇
★お龍(真木よう子)さんの目がいい。
 大きな目でまっすぐ龍馬(福山雅治)を見る。
 真木よう子という女優さんに思い入れがあるせいかもしれないが、目だけで演技が出来るってすごい。
 演出家もその辺がわかっているようで、お龍のシーンでは目を中心にした顔のアップが多い。
 次回以降の新婚旅行で、この目の表情がどう変わっていくか楽しみ。

★物語は<寺田屋騒動>。
 史実がどうかはわからないが、ほぼ一般的に語られている流れどおり。
 お龍が走り、三吉慎蔵(筧利夫)が槍を振りまわす。
 龍馬は短銃を撃つ。
 西郷(高橋克実)はふり返って「坂本どんを死なせてはならん」と見栄を切る。
 か、かっこいい!
 こういう活劇調、僕は好きですね。
 この作品、日常での心理描写が浅くてゆるい分、こういうダイナミックで緊張感のあるシーンが結構引き立つ。

★そして今回、龍馬が<倒幕>で動いている理由が明らかに。
 龍馬は弥太郎(香川照之)に語る。
 「フランスなしにはやっていけぬ幕府に任せていたら、この国はフランスに乗っ取られてしまう。フランスが奪えば、英国も米国も参加して分捕り合戦が始まる。日本を守るために新しい仕組みが作られねばならない」

 このせりふをもっと前に言ってほしかったな。
 このせりふがなかったから、僕などは龍馬がいつ<倒幕>に傾いたのかわからなかった。
 確かにシーズン2の終わりに「この国を洗濯する」と龍馬は言ったが、それが<倒幕>なのか何なのかはっきりしなかった。
 長崎で何となく高杉晋作に触発されて<倒幕>に傾いたという感じではあったが、それでは龍馬が他人の意見にすぐ影響を受ける軽い人物のように思えた。
 龍馬はやさしさをベースに情況を客観的・理性的に判断して行動する人物なのに、という不満が残った。
 ということで今回やっと龍馬の行動に辻褄が合ってきた。

 このことに関連するが、大河ドラマである以上、その人物がどの様な思想・政治意識を持っていたかはしっかり描いてほしいものである。
 それは西郷も木戸も高杉も。
 たとえば一橋慶喜(田中哲司)なども現在は悪役としてしか描かれていないが、本を読むともっといろいろなことを考えていた深い人物。
 彼は後の鳥羽伏見の戦いで大坂から逃げ帰ったが、そうした行動の背景には、戦場に錦の御旗が立てられて<朝敵>にされたからという理由がある。
 水戸学を信奉する慶喜の精神構造では、天皇に反旗を翻した足利尊氏と同じになることは許し難いことだったのだ。
 ここまで描き込まれると人物は深くなり、ドラマになる。 
 大河ドラマではこういう人物描写を見たいんですけどね。
 今後は大丈夫か? 

※追記
 今回チラッと出た会津の松平容保なんかも実に魅力的な人物。
 坂本龍馬とは直接関係ない人物なのでこの程度の描写で仕方がないと思うが、その魅力の片鱗をチラリと見せてほしいと思うのは贅沢だろうか?


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする