平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ソウル1945~愛と血を吐くような魂の叫び。

2011年11月09日 | テレビドラマ(海外)
 韓流ドラマ「SEUOL(ソウル)1945」を見ている。
 舞台は、太平洋戦争前の日本統治下の朝鮮から1945年の終戦、1950年の朝鮮戦争まで。
 壮大なドラマ。群像劇。

 この作品を見ると、日本統治下の朝鮮がどの様な状態だったかがわかる。
 統治者である日本に取り入り、日本化して、出世するムン・ジョングァン(キム・ヨンチョル)。
 彼は鉱山を経営する資本家でもあり、労働者を酷使する。
 その労働者を酷使する兄に反対し、日本からの祖国独立を目指す弟のムン・ドンギ(ホン・ヨソブ)。
 彼は共産主義革命にその活路を求める。
 また、過酷な労働に拠って愛する姉を失ったチェ・ウニョク(リュ・スヨン)。
 姉を殺された恨みから資本家を憎むウニョクはドンギの共産主義思想に共鳴し、共に活動する。
 一時、裁判官の試験に受かり、父や母、妹たちのために立身出世の道を選ぶが、運命は彼にそれを許さず、革命のための厳しい道を歩ませる。
 そして、ジョングァンの娘で、著名なピアニストのムン・ソッキョン(ソ・ユジン)。
 彼女は恵まれたお嬢様だが、自立心が強く、ウニョクのことが好きになり、シベリアを越えて、ソ連のレニングラードまで彼を追いかけていく。
 「私は芸術と愛の神に愛されたの。私は愛を選ぶ」と語るソッキョンは激しい情熱家だ。
 また、そのソッキョンの侍女で、聡明なキム・ゲヒ(ハン・ウンジョン)。
 彼女は自分が使えるソッキョンのことだけを思い、自分の置かれている境遇に何の疑いもなく生きてきたが、妹たちと父親を殺されて、世の中の矛盾に気づいていく。
 そして、最後には名前をキム・ヘギョンと変え、自分たちを苦しめたジョングァンの一族を没落させる決意をする。

 この作品を見ると、なぜ当時の人々が共産主義に共鳴し、行動していったかがわかる。
 貧しい生活、理不尽な扱い、受け入れてもらえない人として当然の主張や要求、不当逮捕、拷問……、すべての矛盾は資本家、資本主義という体制にあることを人々は理解するのだ。
 現在の立場で、つまり現在の北朝鮮の状態やソ連の崩壊を見てみると、共産主義とは何だったのだろう?と思ってしまうが、当時の人々にとっては矛盾を一気に解決する思想、社会体制だったのだろう。

 この様に、「ソウル1945」は激動の歴史物として抜群に面白いものだが、何よりもその登場人物たちが魅力的だ。
 前述した人物たち以外の人々も、それぞれ自分の人生を背負い、血を吐くような言葉を叫んで生きていく。
 皆、自分の信念や愛する者のために、必死に闘っている。
 それらの言葉は、資本家、労働者という枠を越えて、どれも胸を打つ。

 以下は、現在見ている14話~17話にあった登場人物達の叫び。

 「私はあなたへの愛にすべてを賭けたの! すべてを捨ててきたの! 私を受け入れて!」
 「貧困や貴賤のない世界を作りたい。そのために先生や多くの人は命を賭けている」
 「君の痛みは君の芸術に深みを与える」
 「人の恨みをかう者はいつか報いを受けるのさ。栄華は永くは続かない」
 「私は恩も恨みも必ず返してきた男だ。この恩は必ず返す」
 「私は築いてきたものを壊したくない。娘の破滅を見たくない」
 「私は君を恨んでいない。幼なじみが名士になって誇りに思っていた。君のために死んだ娘たちのことも運命だと思って諦めていた。だが、ゲヒだけは助けてくれ! 子供の頃からの友達じゃないか!」
 「お父様は結局、自分の人生を守りたいだけなのよ」
 「今度会ったら絶対にパク・チャンジュを殺してやる!」
 「心で血を流しながら耐えてきました。この人(夫)の看病があるから死ねなかった。この人がいたから生きてこれた。でも、死んでしまったので、もはや生きる未練はありません」

 どれもが激しい魂の叫びだ。
 この作品を見ていると、日本の薄味大河ドラマが物足りなくなる。時には薄味もいいが、やはりフルコースの肉料理を食べたい。
 作品は全71話という長さ。
 71話を通して、面白く見せる構成力(まだ僕は途中ですが)も見事!
 現在、韓国と北朝鮮は敵対して、休戦状態ですが、この作品を見ると、相互理解に繋がるかもしれない。
 両者は、同じように苦しみ、必死に生きてきた同胞なのだときっと理解するはず。


コメント (6)
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