平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒10 「ライフライン」~ありがとうございました……。

2011年11月10日 | 推理・サスペンスドラマ
 「何であんなことをしたのか。もう見ていられなかった。自分を見ているようで。楽にしてやりたかった」

 こんな動機もあるんですね。
 善意の動機。
 殺された運送会社の社長・帯川勉(林和義)も、会社をつぶせば、社員やその家族は困ることを考えて、闇金の取り立て屋をやっていた。

 しかし、一時の激情にとらわれて、死んだり、犯罪に手を染めてしまったらおしまい。
 別の形の闘い方があるはず。
 右京(水谷豊)たちがしたように、闇金摘発に動くとか。弁護士に相談するとか。
 <法や警察>は、そのためにある。
 作品中にあった<互助会>というのも、困った時に助け合う見事なシステム。
 しかし現在は、<互助会>がそうであったように、<法や警察>も十分に機能していないんでしょうね。
 ひとつを摘発しても、次々と新しい悪が生まれてくる。
 法はいくらでもくぐり抜けられる網の目だらけだし、警察も「相棒」がこれまで描いてきたように官僚化し、機能不全。
 それにお金を右から左に動かして、儲けるという商売も、どうなんだろう?
 金融業は経済の血液というけれど、行き過ぎて、不況を招き、社会の癌になりつつある。

 印象的だったのが、神戸(及川光博)のせりふ。
 「あの奧さん、お金のことばかりでしたね」
 夫が殺されて、あんなに泣いていたのに、しばらくすると保険金のこと、お金のことを心配している。
 あの号泣は演技でウソだったのか?とも思ってしまう。
 いずれにしても彼女もお金に囚われ、お金の奴隷になっている。
 お金は生きるために必要なものだが、こだわり囚われたら、大事なものが見えなくなる。

 携帯電話にあった、新潟の住所の写真は余韻。見事なオチ。
 作劇上のミスリードにもなっているが、真相は、ふるさとに思いをはせた被害者・帯川社長の想いだった。
 それは幸せだった時代への郷愁か?

 生きることは厳しく、哀しくつらい。
 殺されて、「ありがとうございました」と言うなんて。
 一方で、今回の闇金や今シリーズ第1話で描かれたような、濡れ手に粟のどうしようもないやつらがいるのだが。
 持てる者はますます富み、持たざる者はますます貧しくなる。
 そんな時代が来ている。


 
コメント (6)
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