平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

みんな!エスパーだよ! 最終回~作品が描いているいくつかのテーマについて

2013年07月06日 | 学園・青春ドラマ
 最終回に近づくに従って、よくわからなくなってきましたね。
 完全に監督・園子温テイスト。

 この作品はいくつかの問題提起をしている。
 まずは、日常を生きるか、非日常を生きるか。
 超能力に目覚める前の鴨川嘉郎(染谷将太)は平凡で退屈で満たされない日常を送っていた。
 憧れの浅見紗英(真野恵里菜)には告れず、まわりをウロウロするばかり。
 友達との話はAV話。
 自分がどう生きたらいいかわからない。
 ところが超能力に目覚めてから、生活は大きく変わった。
 浅見紗英を助けるために戦い、人類のために戦う。
 そのための仲間も出来た。
 平野美由紀(夏帆)とは同じテレパスということで深く心通じ合える存在に。
 今までの平凡で退屈な日々がウソのような充実した生活。
 日常から非日常へ。

 では作品は、平凡で退屈な日常を脱して、非日常に生きろと主張しているかというと、必ずしもそうではない。
 後半のパチンコ屋のスペースシャトルはUFOだというエピソード。
 これに熱狂する浅見教授(安田顕)や紗英の姿は、どこかカルト宗教に毒されている感じがする。
 人類はハルマゲドンの時期を迎えていて、われわれは戦わなくてはならないという主張は、オウム真理教に似ている。
 このように何かを信じて戦うということは、妄想を信じるということであり、おおむね間違った方向に人を導く。

 しかし、一方で作品はこんな描写も。
 一年後、UFOに攻撃される東三河。
 嘉郎は教授の語ったことを信じず、戦うことをやめたばかりに、UFOに攻撃されるという事態を招いてしまったのだ。
 これは原子力発電所が危ないということを信じず、戦いを捨ててしまった結果、原発事故が起こってしまったという感じに近いかな。

 このように現実で生きることは厄介で、複雑で判断が難しい。
 パチンコ屋のスペースシャトルは本当にUFOかもしれないし、単なる思い込みかもしれない。
 もっとも、人が行動するのって、ほとんどが思い込みですけどね。
 では、すべてが思い込みだと割り切って、世界を変えようなどとは思わずに日常をダラダラと平凡に生きればいいのか?

 作品は明確な答えを出していない。
 一年前に戻った嘉郎は「エスパーグループを解散せずに戦う」と宣言したが、そう宣言できたのは一年後のUFOに攻撃される未来を見てしまったから。
 あの未来を見てしまったら、何もせずにはいられなくなるだろう。
 しかし、一方でこうも考えられる。
 嘉郎が見たUFOに攻撃される未来は、単なる夢なのではないかと。

 平凡な日常に生きるか、何かのために戦って非日常に生きるか、それはそれぞれの判断に委ねられている。


コメント
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