平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

激流~私を憶えていますか? <痛み><挫折>の共有をする主人公たち

2013年07月17日 | 推理・サスペンスドラマ
 ミステリーパートも面白いが、登場人物の描かれ方がいいですね。
 圭子(田中麗奈)は、夫に逃げられ、おまけに夫の彼女が著名な作家だったから、会社で左遷。
 美弥(ともさかりえ)は、薬物使用(実はえん罪)で逮捕、ふたたび世の中に出て叩かれることを恐れている。
 貴子(国仲涼子)は娘のために愛人契約。殺人事件に巻き込まれる。
 鯖島(山本耕史)は女性問題で離婚。銀行の出世ラインからも外される。おまけに女からストーカーのようにつきまとわれる。

 一見、みんな立派な社会人でしっかり人生を歩いているように見えるが、実は暗い影を背負い、実人生で挫折している。
 人間の表と裏。
 確かに人間、三十年以上生きてれば、スネに傷の一つもありますよ。
 触れられたくないこと、触れられれば痛いことのひとつやふたつ、あるはず。
 このリアリティがいい。
 今のドラマは十代や二十代を主人公にしたものばかりですが、こういう人生をある程度歩いてきた三十代のドラマがあってもいい。
 太陽の似合う青春からはかけ離れ、歩んできた人生を少し客観的に振り返ることが出来るような世代のドラマ。

 主人公たちは高校の同級生で、過去の小野寺冬葉(刈谷友衣子)失踪事件のことで再会する。
 そしてかつては無邪気に笑っていた同級生が皆、悩みや苦しみ、挫折を抱えながら生きていることを知る。
 ここで描かれるのは苦しみや挫折での<共感>だ。
「お前も苦労しているんだな、実は俺も」「あたしだって順風満帆な人生を送っているわけではないわよ」という共感。
 おそらく、こういうしみじみとした交流はある程度年齢を重ねないと出来ないものだろう。
 そして、この心が通い合う瞬間がこのドラマの魅力。
 十代二十代が<喜び>の共有だとしたら、三十代以降は<痛み>の共有なんですよね。

 このドラマ、ハマりました!
 通常、こういう三十代物は退屈なものが多いのですが、失踪事件というミステリーの縦糸があることで、実に面白い作品になっています。
 しかも役者さんがみんな実力派。
 田中麗奈さん、ともさかりえさん、国仲涼子さん、桐谷健太さん、山本耕史さん、賀来千香子さん、田中美佐子さん、武田真治さん。
 すごく見応えがあります。


コメント (8)
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