平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

亀田・ランダエダ再戦

2006年12月21日 | スポーツ
 亀田・ランダエタ再戦。
 結果は亀田の圧倒的な判定勝ち。
 今までのスタイルとは違うアウトボクシングにランダエタがついて来られなかった。
 解説で言っていたが、ランダエタは右ジャブを突破口にして攻め込んでいく戦法。その右ジャブを亀田は完全に封じていた。
 今回の勝利はいわば亀田の研究・作戦勝ちと言えるだろう。

 さて、試合以外のドラマと言えば、前回の疑惑の判定の勝利。
 テレビ局の側でも「テンマストポイント制」のルールを別VTRで用意したりして対応していた。
 そして見る側と言えば、アンチ亀田ファンとしては「亀田が負けて前回の判定が疑惑に満ちたものであること」を証明し、亀田ファンとしては「亀田が勝って判定が正しかったこと」を証明したいと思って観戦した。
 スポーツというのは、この点が面白い。
 見る立場によって、生まれるドラマが違ってくる。

 また、試合の勝ち負け以外にドラマがあるというのが面白い。
 因縁・疑惑……スポーツのプロレス化とも言うべきもの。
 今回の亀田は完全にこのドラマの主人公を演じていた。
 ドラマの文脈の中に生きていた。
 ラストのファンへのメッセージ。
 自分へのバッシングから守ってくれた父親への感謝。
 勝ってこれを語ることで、疑惑バッシングのドラマに結末をつけた。
 それが支持されるか支持されないかは見る者次第だが。

 この様な点で亀田はドラマを作り出せるスポーツ選手である。(他に同時代でドラマを作り出せる選手といえば、引退した新庄ぐらいか?)
 良識派からは疎まれるマイナスのダーティヒーローのイメージは強いが。
 またマスコミやジムによって演じさせられている感じも受けるが。
 人々の耳目を引く強い個性は持っている。

 今後亀田はどの様なドラマを演じて行くのだろう。
 弱い相手を次々と倒していってもドラマにはならない。
 伝説・神話になるためにはもっと大きなドラマが必要である。
 この点に注目して今後の亀田を見ていきたい。

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24 シーズンⅤ 第18話

2006年12月20日 | テレビドラマ(海外)
 第18話(24:00)

 ストーリーはこう。
「ローガン大統領が黒幕である動かぬ証拠を手にしたジャックは、ヘラー長官を通じて司法長官に証拠を渡すため、バンナイズ空港へ向かう。だがそこでヘラー長官が取った行動は、ジャックとオードリーの予想を覆すものであった……。一方ジャックとオードリーの行方を追うカレンは、クロエを罠に嵌め、オードリーがバンナイズ空港にいることを突き止める。だが大統領が自ら軍隊を派遣すると言い、CTUの戦術チームを呼び戻すよう指示されると、カレンは益々不信感を募らせる」(FOX・HPより)

 ヘラーに証拠のテープを渡せば、すべては解決する。
 視聴者の目はジャックが無事テープを届けるかどうかに釘付けになる。
 今までジャックの敵だった軍、警察。CTUがすべて黒から白に変わる。
 このオセロゲームにも似た展開を視聴者は求めている。
 果たして、証拠のテープはヘラーに渡った。
 ヘラーもテープの内容を聞いて、大統領の関与を確認した。
 事件解決。
 そう思いきや、事態は思わぬ展開をする。
 ヘラーはテロリスト、ローガンの仲間でなかったが、国・政府の人間だった。
 このことが明るみに出て、ローガンが司法の手に委ねられれば、国の大きな恥になる。ヘラーはローガンに辞職を促す判断をし、司法にテープを渡すことを主張するジャックとオードリーを拘束する。

 オセロの黒が白になりかけたと思ったが、次の瞬間、黒に戻る。
 見事な作劇だ。
 このオセロゲームは今回のラストでも展開される。
 テープの証拠を盾にローガンに辞任することを勧告するヘラー。
「理由は今回のテロ対応によるストレスでも何でもいい。明日の朝辞任会見をして下さい」
 同意するローガン。 
 副大統領も同席して辞任の意志を伝えるが、そこにヘンダーソンからの電話。
「テープを奪回した」
 ヘンダーソンは空港にいたヘラーの側近とジャックを襲い、人質にとったオードリーとの交換でテープを奪還したのだ。
 これでローガンは辞任を翻す。
 ヘラーに汚名を着せた責任をとって、辞任しろと言う。
 まさに大逆転である。

 こうした大逆転を1時間に2回も見せられる視聴者は幸せである。
 物語のフラストレーションは貯めに貯めた方が、解消された時のカタルシスは大きい。
 フラストレーションが解消されれば、作家はまた一からフラストレーションを作り、積み上げていかなくてなならない。
 今回の話はそのフラストレーションを解消させなかった。
 むしろ裏切り、主人公たちを新たな困難に陥れた。
 これもまた見事な作劇である。

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のだめカンタービレ 第10話

2006年12月19日 | 学園・青春ドラマ
 第10話は戦い。
 マラドーナピアノコンクール。
 のだめ(上野樹里)の演奏は不安定だ。
 のだめには音楽を憎む気持ちがある。
 子供の頃、その才能ゆえにスパルタ教育を課せられたのだめ。
 音楽はつらく、自分をいじめるもの。
 その心の奥底にある嫌う気持ち・憎む気持ちが音楽に表れる時、のだめの音楽は調和を忘れる。
 この不安定さをドラマにした所が素晴らしい。
 戦いとは結局自分との戦いなのだと教えてくれる。

 さて、コンクールののだめ。
 千秋(玉木宏)と肩を並べて歩きたい。
 千秋と別れたくない、ヨーロッパに行きたい。
 その想いから真摯に音楽と向き合ってきた。
 しかし、時間切れ、最終の課題曲には間に合わず落選。
 また音楽に裏切られた。
 また音楽に傷つけられた。
 音楽を捨てる決心をする。

 のだめが音楽に戻って来るには、「音楽を好きになること・愛すること」が必要だが、そのきっかけは何か?
 のだめが音楽に戻ってくるには、「音楽と真摯に向き合うこと」の意味・理由が彼女に理解されなければならないが、その答えは何か?

 この作品は「音楽」をテーマにした作品だが、同時に同じことが私たちに問われている。
 「何かを好きになること・愛すること」の大切さ。
 「何かと真摯に向き合うこと」の大切さ。
 「何か」の所は、人、仕事、家族、何でもいい、当てはめてみればいい。
 次回、のだめがどの様な答えを出すか?その理由は何か?楽しみだ。


<追記>
 今回、高橋くんという海外コンクール3位のバイオリン奏者が現れて、ドラマが動いた。
 高橋くんは千秋サマLOVE。
 真澄(小出恵介)のリアクションはもちろんだが、清良(水川あさみ)のコンマスの地位も危ういことに。
 龍太郎(瑛太)は高橋がコンマスになることを承知する。
 恋人の清良は龍太郎のその行為が信じられないが、龍太郎の意図は、ウィーンに戻ることに迷っている清良に踏ん切りをつけさせるというものだった。
 龍太郎は言う。
 「こいつ(高橋)よりもうまくなって帰って来いよ」

★新しいキャラを入れることによって、ドラマが動き出す。
 この作劇もテクニックとして覚えておきたい。

 また、この清良に対する龍太郎のエピソードを入れることで、龍太郎が他人のことを見守り、その人のためを思って行動するキャラだということが視聴者に伝わる。
 だから、海外に行くことを千秋が言う前に龍太郎がRSメンバーに伝えていたというラストのエピソードが不自然でなくなってくる。

★高橋くんの登場→海外へ行く清良への祝福→海外へ行く千秋への祝福。
 エピソードの連鎖。
 この連鎖がうまくいくことで、物語はどんどん面白くなっていく。

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ポイントプレザントの悪夢

2006年12月18日 | テレビドラマ(海外)
「ポイントプレザントの悪夢」物語の概要はこう。

 ニュージャージー州に位置するポイントプレザントに突然の嵐が。
 ライフ・ガードとして働くジェシーは海に女性が浮かんでいるのを見つける。
 助けられた女性の名は クリスティーナ。
 だが、それが地獄の始まりだった。
 クリスティーナは悪魔の父親と人間の母親の間に生まれた少女。
 その目覚めが始まっていたのだ。
 彼女の魂の戦いが始まる……。

 自分探しの物語である。
 自分とは何者か?
 つきつめていった結果、わかったことが「悪魔の子」だとしたら。
 そんな怖さがこの物語にはある。

 予兆はあった。
 自分が他の人間とは違うのではないかという思い。
 人は自分を見て、時々恐怖の表情を向ける。
 理由はわからない。
 こんなこともあった。
 クリスティーナは自分を助けてくれたジェシーがガールフレンドと仲良くしていることがつらい。
 自分では否定するが、湧き起こる憎悪の気持ち。
 その憎悪の気持ちを抱いた時、キャンプファイアの火がボン!と突然大きくなる。
 部屋でひとりでいるクリスティーナはジェシーとガールフレンドの情事を想像する。
 いたたまれない。つらい。
 実際、ジェシーは車の中でガールフレンドとキスをしていた。
 するとガソリンスタンドからガソリンが漏れ、引火!!
 火は車に向かって走り、ガールフレンドの安全ベルトは外れない!
 翌日、ジェシーに起こったことを聞かされて恐怖するクリスティーナ。
 クリスティーナ自身は自分が悪魔の子であることを知らないから、自分が思ったことがその通りになってしまうことに恐怖する。

 第一話しか見ていないが、ドラマはこう展開していくであろう。
 自分が「悪魔の子」であることを知ったクリスティーナが「人間」と「悪魔」であることのどちらを選ぶか?
 これは、自分探しの物語の基本的なドラマパターン。
 突きつめれば、人間を愛するか憎むかのドラマ。
 さて、クリスティーナはどちらを選ぶのか?

★追記
 第一話ではその他にもこんな怖いシーンがあった。
・クリスティーナのまわりの人間が皆おかしくなっていく。
・クリスティーナの瞳には検眼鏡で見ると、666を重ねた紋章がある。
・クリスティーナの父親の秘書は、クリスティーナの目覚めを知ると「神に栄光あれ」と言って、彼女の首を絞め殺そうとする。
 すると蜂が群れをなして飛んできて秘書を襲う。 

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キスまでの距離 村山由佳

2006年12月17日 | 小説
 美術教師のかれんはこんな授業をする。
・自分がイタリア旅行をした時の体験談。
・独断と偏見に満ちた絵画解説。
・絵の課題「SF小説の挿し絵」
・絵の課題「名画のパロディ」(例・ムンクの「叫び」の男をジェットコースターに乗せる)
 こんな受験勉強の息抜きになる授業をするかれんは人気者だ。
 おまけに美人だから、「きれいな姉貴」として男子生徒のあこがれの的。
 そんなかれんと主人公の勝利は訳あっていっしょに暮らしている。
 友人たちはいっしょに暮らしていることを知らないが、もし知ったら「ほんとォォにイトコ同士なんだろうなとか、恋人はいるのかとか、家での彼女はどんなだとか、手料理はうまいかとか、寝る時はパジャマかネグリジェかとか、下着は何色だとか」いろいろ詮索するだろうなと勝利は思っている。
 そして家での実際のかれんは学校の「きれいな姉貴」とは正反対の状態。
 朝は弱いらしく勝利が作った朝食を遅く起きてきて食べる。
「髪はぐしゃぐしゃにもつれ、頬にはまくらの後がついている」
 この生活感とギャップがいい。
 かれんをキャラクターとして魅力的にする。
 
 さて、こんなかれんに今まであまり人に関心を示さなかった勝利が恋してしまう。
 この恋の描写がいい。
「こうして並んで歩いたり同じ電車に隣り合ってすわったりしてみると、何だか今までの一ヶ月を無駄に使ってしまったような、とてももったいないことをしたような気さえしてくる。こんなのは初めてだった。何なのだろう、この気持ちは? この甘酸っぱい、思わず叫びだしたくなるほど、凶暴な気持ちはいっったい……?」
 恋を「凶暴な気持ち」と表現してしまう所が素晴らしい。

 こんな描写もある。
「どうして僕がこんなにまでして彼女の世話をやかなければならないのだろう? いや、そもそもどうしてこんなにも、彼女の一挙一動が気になってしまうのだろう?」
 これは明らかに恋の気持ちだ。
 日曜日に必ず千葉の方へ外出するかれん。
 勝利はその理由を確かめたいと思ってかれんの後をつける。
 そして思う。
「(後をつけることは)人の手紙を黙って開けて見るような後ろめたさがある。けれど、あんなに沈みがちな彼女を、これ以上、手をこまねいて見ていることは僕にはできなかった。僕にできることは何でもしたい。そして、かれんの方でも心の底ではそれを望んでくれるようにと、僕は祈った」
 自分がすることをかれんも望んでほしい(「おせっかい、あなたなんかに関係ない」と言ってほしくない)。
 こんなふうに恋の表現が出来てしまう所に作家の力量を感じる。

 そして自分のかれんへの気持ちに気づく勝利。
「僕はいつのまにか、一人の女としてかれんを好きになってしまったのだ。恋には必ずきっかけがあるものと、もし決まっているなら、人生どんなにわかりやすだろう。だが、人の感情なんてそう簡単にはいかないものだ。少なくとも僕の場合、これといったきっかけなんて、思い返してもどこにも見当たらなかった。ただ、一緒に日々を暮らして、同じことを笑ったり怒ったり感動したりしているうちに、ゆっくりと、静かに、昨日よりは今日、今日よりは明日というように、毎日少しずつ気持ちが確かになっていく……。僕のはそんなふうな好きのなり方だった」

 こんな恋の思いこみもある。
「彼女の目から見たら僕なんかたぶんまだまだガキで、お話にもならないと言われるかもしれない。それでも、どういうわけか確信していた。自分ならば、いや自分だけが彼女を守れる、と。彼女にそれをわからせるのは一苦労だろうが、いつかは説得できる自信さえあった」
 また、こんな恋の不安もある。
「でも、と僕は思う。これはもしかしたら、僕の中で始まり、そして終わってしまう恋かもしれない。あるいは『風見鶏』のマスターによって奪い去られてしまう恋かもしれない。そのことだけは覚悟しておかなければならない」

 村山由佳の「キスまでの距離」は、恋愛の気持ちを的確に表現した作品である。

★追記
 同じく恋の気持ちを表現した文章。
「かれんの笑った顔、眠そうなあくびや、布の染まり具合を確かめる真剣な目、暖かなアルト、心持ち首を傾げながらゆっくりと話すくせ……。そういうふとしたしぐさのひとつひとつが僕を惹きつけてやまない。あの救いがたいトロくささも、常識からズレまくっているところも、とにかく全部ひっくるめて、僕には彼女しか考えられなかった」
 通常の作家なら「全部きっくるめて、僕には彼女しか考えられなかった」とだけ書くところ、こんなにも言葉を尽くして書いている。
 <具体的な描写><同じニュアンスの内容を積み重ねていくこと>、小説の文章表現として把握しておきたい。

 
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24 シーズンⅤ 第17話

2006年12月16日 | テレビドラマ(海外)
 第17話(23:00)

 ストーリーはこう。
『エブリンは大統領とヘンダーソンの通話記録を銀行の貸金庫に預けていた。ジャックは証拠を手に入れるためウェインと共に貸金庫へ急行する。一方ジャックの行動をなんとしても阻止したいローガン大統領は、ジャックを再びパーマー暗殺の第1容疑者と認定し、カレンに緊急逮捕命令を下す。カレンは度重なる無謀な命令に次第に疑問を抱き始める』(FOX・HPより)

 大統領という最高権力者と戦うことになるジャック。
 これまでも指導者の欲、保身、無能を描いてきた「24」だが、敵がテロリスト以外だという点が面白い。
 敵は軍、警察、そして国土安全保障省に吸収されたCTU。
 その中で視聴者を引きつけるのは、ジャックを応援する存在がいることだ。
・オードリー。
・クロエ。
・シークレットサービスのアーロン。
・CTUを解任になった元支部長のブキャナン。
 脇キャラクターが立ってくる瞬間だ。
 そして、大統領に疑念を抱くキャラクターも。
・国家安全保障省(CTU)のカレン。
 カレンは無実が証明されているにも関わらず、パーマー暗殺容疑で再びジャックを捕まえようとすること。暗殺容疑の証拠が提示されないこと。テロの主導者のヘンダーソンを追うことよりもジャックを優先させることに疑問を抱く。
・大統領補佐官のマイク。
 マイクは本当にジャックを捕まえる命令が大統領から出ているか軍の将軍に確認するが、将軍は聞いていないと言う。
・副大統領。
・大統領夫人。
   〃  は謎の男(ヘンダーソン)から夫にかかってくる電話に疑念を抱いている。

 この様に「24」はこの脇キャラの描き方、立て方がうまい。
 副大統領は今までマイナスのイメージだったから尚更だ。
 大統領に次ぐ権限も持っているため、今後の重要なジョーカーにもなりうる。

 孤立無援になった主人公を助けるキャラクター。
 疑念を抱き、主人公に手を貸すかもしれない存在になるキャラクター。
 これらのキャラクター像は実に魅力的だ。


★追記
 ローガンのテロへの関与は次の様なものだ。
 自殺したウォルター・カミングスがやろうとしていたロシアでのテロを実は影で画策していたのはローガンだった。
 カミングスはこのことを知らない。
 カミングスはヘンダーソンからこの計画を持ちかけられて乗った。
 今回のテロは自分とヘンダーソンの間で実行されたものとカミングスは思っている。ヘンダーソンとローガンが通じているとも知らずに。
 カミングスはローガンとヘンダーソンに踊らされたのである。
 ローガンがこのテロへ関与した理由は、国のため石油資源確保のためである。

★追記
 アクションシーン・サスペンスシーンは次のようなものだった。
・銀行でのテロリストとジャックの戦い。
 ジャックは警察を呼び、テロリストと銃撃戦をさせた隙をついて脱出を試みる。
・追跡装置を付けられたオードリー。
 オードリーを追えばジャックにたどり着く。
 そう考えたカレンはオードリーの車に追跡装置を付ける。
 しかしクロエに見つける方法を聞いて追跡装置を発見。
 ガソリンスタンドで別の車に追跡装置を付ける。
・居場所がわかるエブリン親子。
 足を銃で撃たれたエブリン(軽傷)。
 病院に運べば、権力を持っている敵に居場所がばれてしまう。
 とりあえず近くのモーテルに姿を隠すことになる。
 ジャックたちは証拠の品を回収するため銀行に向かい、モーテルにはエブリン親子だけが残される。
 そしてエブリンの娘。母親は軽傷とはいえ気が気ではない。母親が立ち上がろうとして転倒、椅子に頭を打ったのを見て、救急に通報してしまう。

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バットマン リターンズ

2006年12月15日 | 洋画
 ティム・バートンの作品はおもちゃ箱をひっくり返した様な楽しさに溢れている。
 バットマンも例外ではない。
 ペンギン男率いるサーカス党、おもちゃの様なギミック満載のバットモービルなど、子供の空想がそのまま映像になった様な感じ。
 しかし、描かれているものは非常にグロテスクだ。
 色とりどりの映像の中に描かれるグロテスク、これがティム・バートンの魅力でもある。

 さて、この作品で描かれるグロテスクは登場する怪人たちにある。

 ペンギン男はその醜悪な姿ゆえ(檻の中に入れられた赤ん坊の彼は歩いてきた猫を捕まえると食べてしまう)、赤ん坊の時に両親に下水に捨てられた。
 下水で育った彼は人間に深い恨みを持つと共に、人間でありたいとも思っている。自分が誰であるかを知りたいと思っている。
 下水から出て来た彼は、両親が誰かを確認し自分の名前がオズワルドであることを知る。
 次に市長になろうと思う。
 人々に尊敬されたい、受け入れられたいという理由もあるが、一方で市長になって自分を忌み嫌った人間に復讐をしたいとも思っている。
 その歪み具合。
 後半、バットマンにその歪んだ心を暴露された彼はこう言ってペンギンを使ったテロに走る。
 こう言って演説会場では傘に仕込んだ機関銃を乱射する。
「俺は人間じゃない。血も涙もないケダモノだ」
「人間的な感情など、捨ててしまった」

 キャットウーマンは復讐によって生まれた怪人。
 秘書だった彼女(セリーナ)は社長であるマックスに殺された。
 その恨みによって誕生した彼女は今まで抑圧していたものがなくなったのか、やりたい放題をする。
 鞭で人を打ちのめし、セクシー路線をひた走る。
 今までは通販の電話や母親の電話にイライラする様な、ある意味どこにでもいる市民だった彼女がこう言い放つ。
「自称、普通の人間は退屈よ」
「あなたの仮面を剥がしたいわ」(この場合、仮面とは市民としてのモラルを言う)
 そしてマックスに復讐を果たす時は、バットマンにこう言う。
「彼や私たちに法律は関係ないわ」
 キャットウーマンは抑圧されたものがなくなった時、人はどう変わるかというモデルとして興味深い。

 そしてもうひとりの怪人・バットマン。
 ティム・バートンは「二重人格」ということで、バットマンを描こうとしていたらしいが、これはあまり成功していない。
 ブールス・ウェインはなぜ仮面をつけるのか?
     〃    はなぜバットマンになるのか?
 正義のためとだけでは説明のつかない何かがある。     
 後半、セリーナを愛したブルースは、バッドマンの仮面を脱ぎ捨てキャットウーマンであるセリーナにも仮面を脱ぐように言う。
 ブルース・ウェインとしてセリーヌに求愛しているのはわかるが、彼がなぜバットマンになったのかの説明はなされていない。
 この辺が描けていれば、もっと深いドラマとなっていただろう。

★追記
 こんなせりふのやりとりも気が利いている。
 キャットウーマンを見て、警備員はこう言う。
「助けてくれ。俺は週給300ドルの身だ」
 するとキャットウーマン。
「消えな。給料泥棒」
 週給300ドルでもしっかり働けということの様だ。

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24 シーズンⅤ 第15・16話

2006年12月14日 | テレビドラマ(海外)
 第15話(21:00)

 情報ブローカーのコレットの情報源がオードリーであることが判明。
 ジャックは葛藤し、その真偽を確かめる。
 ここでのドラマのポイントはジャックがオードリーを信用できるか?という点だ。
 過去、ニーナ・マイヤーズを信じて妻を殺されたジャック。
 誰が敵で誰が味方であるかわからない連邦捜査官という職務。
 ジャックは疑うところから、人と対しなければならない。

 ジャックはオードリーを自分の手で尋問する。
 それは自分で真偽を確かめたいと思うのと、自分がやらなければ薬物に拠る拷問がオードリーに科せられるからだ。
 そしてオードリーを尋問して、彼女がシロだと判断すると今度は彼女を守るために戦う。
 薬物に拠る拷問を主張する国土安全保障省のカレンとぶつかり、「今、やるべきはウソをついた情報ブローカーのコレットを締め上げることだ」と主張する。
 カレンは免責処置が下りているカレンを尋問することは法律上出来ないと返す。
 ジャックは免責処置を無効にするため、クロエにコレットの証言がなかったかを調べさせ、コレットがヘンダーソンと過去何度も電話で接触していた事実を突きとめる。
 そして免責処置を無効にして、次のテロリストのターゲットを吐かせることに成功する。

 次のターゲットは天然ガスの配送センターだった。
 各家庭に通じているガス管を通して神経ガスを配布する。
 配送センターに向かったジャックはガス管を爆発させることで、神経ガスを無効にし、危機を乗り越える。 
 今回の話はオードリーの疑惑だが、それがジャックを攪乱させる敵の偽装だったというオチはあまりひねりが効いていない。テロリストたちがガス管に神経ガスを撒くまでの時間稼ぎのエピソードに思える。


 第16話(22:00)

 今回はホワイトハウスにいる大物の敵が明らかにされる。
 その際、視聴者にはミスリードが……。
 大統領に戒厳令を提案し、国土安全保障省を使ってCTUの捜査を妨害してくる副大統領が黒幕と思わせるのだ。
 その情報を握るのは大統領夫人・側近のエブリン。
 彼女は娘をヘンダーソンに誘拐され、黒幕である証拠となる物をジャックたちに渡すことが出来ない。
 ジャックは誘拐された娘と証拠の品との取り引き場所にエブリンと行き、銃撃戦の末、娘を奪還する。
 そしてエブリンは黒幕は副大統領ではないと言う。
 では、本当の黒幕とは?

 その他、この15話・16話にはいくつか印象的なシーンがある。

★エドガーの後任でやって来た分析官。
 彼女はセクハラを受けたと言って、国土安全省のマイクを嫌っている。
 クロエもそれを理解しマイクを敵視するが、実はセクハラ、新任の分析官に問題がある様だということがわかる。
 テロリストが神経ガスを撒こうとしている天然ガス配送センターの特定に貢献した彼女に支部長のブキャナンは「でかしたぞ」と言って彼女の肩を触る。
 すると彼女はクロエに言う。
 「今、支部長が私の肩に触ったの気がつきました?」
 彼女はセクハラに過敏になり、被害妄想にとらわれていたのだ。
 神経症の感じも。
 正しかったキャラクターが、一転してマイナスのキャラになる。
 怖いシーンだ。

★国土安全保障省とオードリー。
 CTUを吸収したい国土安全保障省は、CTUの失態が今回の事態を招いたことにしたい。
 そこでオードリーにその証人になることを要請する。
 オードリーはCTUの働きがあったからこそ、大きな被害が出なかったと突っぱねるが、ジャックから「誘拐事件の件で敵の位置を知るために衛星を使いたい」という協力要請を受ける。
 衛星を使うにはクロエが必要だ。
 オードリーはクロエを自分の下で仕事をさせることを条件に、証人になることを了承する。
 
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ダーティハリー

2006年12月13日 | 洋画
 主人公に課せられるカセ。
 これがいくつもあること、これがドラマを面白くする。
 カセを主人公がどう切り抜けるかがドラマを面白くする。

 名作「ダーティハリー」のハリー・キャラハン刑事に課せられているカセはこうである。
 ★犯人
 ★法律(上司)
 ★新米の相棒

 刑事ドラマであるから犯人が主人公のカセになるのは当たり前だが、このスコルピオという犯人、なかなか頭がいい。
 「ヤツが再び狂い出すのを待ちます」と言って、スコルピオを尾行するハリー。
 スコルピオはハリーを捜査から外すために、ハリーに暴行を受けたとマスコミにアピールする。本当は金を払ってある黒人に殴らせたものなのだが。

 法律もまたハリーの邪魔をする。
 スコルピオの居場所を突きとめるハリー。
 令状をとっていては逃げられてしまう。
 誘拐されている少女の命が危ない。
 そのため令状なしでスコルピオの家に踏み込んだために証拠がすべて無効に。
 勝てない裁判はやらない。
 スコルピオは釈放になる。
 喰ってかかるハリーに上司は言う。「それが法律だ」
 ハリーに暴行されたとマスコミに訴えた時も上司は「監視をやめろ」とハリーに言う。
 その時、ハリーが皮肉をこめて返したせりふがいい。
 「ヤツが喜ぶ」

 ハリーは皮肉屋だ。
 強姦しようとしている男を射殺したハリー。
 「そいつが本当に強姦しているかどうかわからないだろう」と言う上司にこう返す。
 「ナイフ持ってハダカの女追いかけ回している女が募金活動していると思いますか?」

 相棒もカセになる。
 今回はチコという新米刑事。
 「新米を調教している暇はない」と相棒にするのを突っぱねるハリー。
 チコが大学出のエリート刑事だとわかると「出世できるぜ。死ななければな」と皮肉を言う。
 結果として、チコは有能な刑事でハリーの足を引っ張ることはなかったのだが、スコルピオに撃たれて、刑事を辞めることになってしまう。
 ハリーがチコを遠ざけたのは、自分といっしょにいると常に危険にさらされるからだということが、この後のハリーの対応で観客に伝わるのだが、部下の命を気遣って捜査しなければならないハリーには大きなカセになる。

 余談だが、チコの後釜でちょっと出て来る刑事が味がある。
 彼はベテランらしく、ハリーのやり方をよく知っている。
 スタジアムでスコルピオを追いつめ、誘拐された少女の居場所を吐かせるために拷問しようとするハリーにこう言う。
 「手を貸そうか?」
 この一言で彼もまた法律や上司の思惑など関係なく捜査する刑事であることがわかる。

 この様に幾重ものカセが課せられた「ダーティハリー」。
 この作品が発表された当時としては、その刑事像・犯人像においてかなり斬新であったろう。
 法律・上司がカセになるということも新鮮であっただろう。

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のだめカンタービレ 第9話

2006年12月12日 | その他ドラマ
 「のだめカンタービレ」、その魅力はスピード感にある。
 そのスピード感を生むためのテクニックとは?

★あと説明
 第9話では、千秋(玉木宏)が札幌に行くシーンがある。
 空港にいる千秋と龍太郎(瑛太)。
 なぜふたりが空港にいるかは事前に説明されない。
 龍太郎が「ラーメン食べるためだけに札幌行くとは金持ちは違うな」と言うことでその理由がわかる。
 あと説明である。
 こんなシーンもあった。
 シーンが変わり、いきなり焼き肉屋。
 江藤先生(豊原功補)の奥さんが「今日は教え子ふたりの祝勝会なんだから」とあと説明する。

★カット終わりのせりふ
 カット終わりに次のシーンの説明を加えるだけでスムーズに次のシーンに行ける。
 例えば、真澄(小出恵介)が「千秋様、大変なことになっているのよ」と入ってくる。
 次のシーンではRSに入りたいという学生が詰めかけているという描写に。
 シュトレーゼマン(竹中直人)が来る時もそう。
 クラシックライフのけえ子(畑野ひろ子)から千秋に電話がかかってくる。
 「シュトレーゼマンが日本にいるらしいのよ」
 千秋がふり返ると、マエストロがいる。
 合コンのシーンも同じだった。
 「というわけで今日は久しぶりに」とシュトレーゼマンが言うと、次のシーンは合コンのシーン。
 これでかなりスピードアップとなる。

★モノローグ
 モノローグも展開を早くする。
 のだめがコンクール目指して合宿していることを聞く千秋。
 「のだめがコンクール?」とモノローグ振っておいて、のだめがコンクールを嫌がっていたシーンを回想、次にこう繋げる。
 「あんなに嫌がってたのに。無茶だ。あいつはコンクール向きの演奏者じゃない」
 心情描写を芝居で描くのは時間がかかるが、モノローグなら短時間で表現できる。

★ひとつのシーンにふたつの意味を加える。
 コンクールの練習を始めたのだめの理由を考えて土手を歩く千秋に、のだめが演奏している曲を重ねる。
 これでのだめが練習をしていることも伝わる。
 のだめが練習をしているシーンと千秋が考えているシーンを別々に描けば時間が倍かかってしまう。
 のだめが練習しているシーンに千秋のモノローグを重ねるというシーンもあった。

★練習をするのだめ→コンクールののだめ
 シューベルトの練習をしているのだめ。
 曲は流れたまま、次のシーンでは「マラドーナ音楽コンクール」の看板が挿入され、次にコンクールで演奏しているのだめが描かれる。
 これは曲繋がり、演奏繋がりのシーン繋ぎ。
 これもかなりの省略になる。

 その他、こんな省略もあった。
 千秋の携帯にかかってくる電話。
 次のシーンでは空港で電話をかけているシュトレーゼマンに。
 ここでは、千秋が電話に出て「千秋です」と言うといったやりとりはない。
 
 北海道のシーン。
 千秋がなぜカニを買い、ウニ、「白い愛人」を買うかは、のだめの声(「のだめにカニ買ってきて下さい」「できればウニも買ってきて欲しいです」「ラーメンと『白い愛人』も欲しいです」)の挿入で説明される。
 その間、市場でカニを買う千秋、ウニを買う千秋、土産物屋で「白い恋人」を買う千秋が描かれる。
 そして次のシーンでは空を飛ぶ飛行機に。
 実にテンポのいいシーンだ。
 のだめのエスカレートしていくおねだりと龍太郎のリアクションもプラスされ、シーンとしても面白かった。

 こうした省略のテクニックが、この作品にスピード感と勢いを与えているのであろう。
 そして、この疾走感が演奏シーン・ギャグと共に見る者をアドレナリン全開にする。
 これが「のだめカンタービレ」の面白さだ。

コメント
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