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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

金田一少年の事件簿 悲恋湖殺人事件

2006年12月01日 | コミック・アニメ・特撮
 金田一少年の事件簿「悲恋湖殺人事件」から推理小説の作り方を考えてみる。
 以下、ネタバレ。

★まず動機を考える。
 今回の犯人の動機は海難事故で死んだ恋人の復讐だ。
 タンカーと衝突して沈んだ客船。
 救命ボート。しかし、ボートのキャパはいっぱいで犯人の恋人。螢子は乗ることが出来ず沈んでいく。
 ボートに乗り合わせた男は手をのばす螢子の手を払いのけた。
 これは緊急避難。「カルネアデスの板」という案件で罪には問われない。
 しかし犯人は許せない。
 これが動機だ。
 なお、螢子は男が手を払いのけた際に男の鞄についていたイニシャルプレートを引きちぎった。

★犯人の行動を考える1
 犯人は死んだ螢子が握りしめていた「SK」というイニシャルプレートをもとに客船に乗り合わせていたイニシャルSKの人間を観光事業のいい儲け話だと言って集める。SKの人間が集められたのは悲恋湖畔のロッジ。
 犯人にしてみれば、ボートで螢子を死なせた人間の特定は出来ないから、イニシャルSKの人間を全員殺してしまおうというわけだ。

★犯人の行動を考える2
 そして自分が犯人であることを隠すために偽装をする。
 過去に連続殺人を犯して服役していたジェイソンと呼ばれる男が脱獄したというニュースを流したのだ。そのニュースは犯人が自分で吹き込んだテープを再生したものだった。
 これで犯行がジェイソンであるとみんなは思い込む。

★犯人の行動を考える3
 犯人はさらに偽装する。
 吊り橋を炎上させて逃げ道をなくし、自らも殺されたふりをする。
 ジェイソンは斧で人の顔を切り刻むから、顔での判別はつかない。
 そして次々と連続殺人を行っていく。
 ロッジに人がいるかどうかは盗聴器を仕掛けて確認している。

★犯人のほころびを考える。
 今度は犯人が犯したミスを考える。
 これが探偵が事件を解明する糸口になる。
 今回の場合は、
 冷蔵庫まで人が殺されていたにも関わらず、冷蔵庫の中の物に犯人が手をつけていないこと。(脱獄して山の中を逃げてきた犯人であれば冷蔵庫の中の物を食べるはず)
 ステレオが壊されていたこと。
 自分が死んだと偽装した死体に時計がつけられていなかったこと。(この時計は犯人と螢子の思い出の品だった)など。

★決定的証拠を考える。
 そして犯人を特定し捕まえるための決定的証拠を考える。
 今回の場合は犯人を罠にはめておびき寄せた。


 以上が作家が作品を書く前に用意すべき事だ。
 あとは、犯人が行ったこと・犯人が行ったミスを時系列に再構成していけばいい。
 犯人が行ったミスは読者に気づかれないように巧妙に入れていき、探偵のみに気づかせればいい。
 決定的証拠を突きつければいい。

 この様に考えると推理小説は事前に十分な材料を用意して作られていることがわかる。
 今後も同じ様な切り口で様々な作品を解題していこうと思う。

 
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