平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

功名が辻 永遠の夫婦

2006年12月11日 | 大河ドラマ・時代劇
 「功名が辻」 最終回「永遠の夫婦」には印象的なふたつのシーンがあった。

★砂浜での再会
 死んでいった者の魂をなぐさめる旅に出る千代(仲間由紀恵)。
 砂浜を歩いていると、死んだ一豊(上川隆也)が。
 一豊は千代を迎えに来たのだ。
 千代は魂をなぐさめる旅に出る時、一豊にこう祈った。
「もう(なぐさめる旅が)十分だと思った時、迎えに来て下さい」
 そして再会した一豊は千代をおんぶしていく。

 見事な千代の死の暗示。
 あの世でもふたりはいっしょだということを物語るエピソード。
 これが現実のことなのか、千代の見た幻なのかはわからない。
 死後の世界を信じればそれは現実であろうし、信じなければ幻になる。

 人は物語の中に生きる。
 自分の死の際には一豊が迎えに来る。
 そういう物語の中に生きた千代の死は穏やかなものだったろう。

★河原での再会
 河原で千代に自分のわらじを履かせてあげる一豊。
 若き日のふたりが初めて出会った場面。
 その時の千代は幼い千代の姿ではなく、成人した姿。

 このシーンはどう解釈したらいいのだろう。
 ふたりの人生はエンドレスに続く。
 このシーンから再びふたりの人生が始まる。
 つらいことも多かったが、それ以上に楽しかったふたりの人生がまた始まる。
 そんなことを思わせてくれる不思議なシーンだ。

 いずれにしても千代は一豊との人生を本当に愛おしく思っていたのだろう。
 だから最初に戻ってもう一度始めたいと思う。
 もう一度ふり返ってみたいと思う。

 名シーンだ。
 回想でその人生を感動的に描くことは誰でも思いつくことだが、ふたりの出会ったシーンから始めることで、人生を物語ってしまうとは。
 客観的男性的描写の多い司馬遼太郎の作品をここまでアレンジした大石静さんの手腕も見事!

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする